アニミズムの刷り込み~擬人化された乗り物たち ― 2006年07月03日 06:08
こうしたタイトルを並べるとまるで最近のエンターテイメントの中にそういう流行の兆候があるようにも見えますが、そういう訳ではないでしょう。擬人化された乗り物という題材は例を挙げるまでもなく、はるか昔からある題材です。とくに絵本やカートゥーンではありふれたものでした。
思い起こせば自分も幼ない頃、親に与えられた絵本の中にディズニーの『青い自動車』や『小さな家』『小さな郵便飛行機』がありました。通称”トムジェリの真ん中”テックス・アベリー作品で同系統の『ボクはスポーツカー/ONE CAB'S FAMILY ('52)』、『ボクはジェット機/LITTLE JOHNNY JET ('53)』なんかも好きなアニメでした。
くわえて『いたずらきかんしゃちゅうちゅう』『きかんしゃやえもん』、”きかんしゃトーマス”の原作『きしゃのほん』シリーズといった擬人化された乗り物や家、きかんしゃといった”物”たちは幼少期の良い友達、”物”は大切にしなければかわいそうだ、とか友達になりたいという感情移入できる存在として傍にあるものでした。
なんでか子供は乗り物の絵本が大好きです。メカニックへの憧れと言う男の子なら誰もが持つ嗜好、それに加えて感情移入の相手としての”アニミズム的”なものがそこにはあるような気がします。
車や新幹線の新作車両をつい「今度のは目が釣りあがっている。」なんて言ってしまいがちですが、そこには明らかにライトを目と見立て、擬人化されています。そうやって人に見立てることで親近感を覚えたりする感覚は老若男女問わずありがちな風景です。
(シミュラクラ現象だけとは言いがたい擬人化的な思い入れを感じている自分の問題かもしれませんが。)
そういう感情移入の感覚は大人になるにつれて薄くなっていくものなのでしょうが、どうも自分の場合はいまだにそれらが強くあると言うか、幼児性が抜けないと言うか……。
さて、今の子供達は昔と同じようにしているのかと目を向けると「きかんしゃトーマス」は相変わらず人気だし、「ボブとはたらくブーブーズ」など、新作でも同じような感覚を覚える作品があるから、今も昔も変わらないようです。
あれだけ大人向けだと感じたフィルム『カーズ』も、親子連れの感想を聞くに、かなり子供の興味を惹いているようです。
やっぱり擬人化された乗り物には洋の東西を問わず共通した、原始的な魅力を備えたものなのかもしれません。
◆画像
ディズニー・アニメ「青い自動車」の主人公、スージー。彼女はクーペ。メディコムトイのVCDシリーズのプレゼント品としてリリースされた非売品のソフビフィギュアです。
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