映画『チャーリーとチョコレート工場』 ~違和感を考える2005年11月18日 04:18

チャーリーとチョコレート工場(パンフレット)
ティム・バートン作品がヒットする状況に違和感を覚えつつ、ビジュアルの楽しさを前面に押し出すCMの期待を胸に鑑賞してきました。(行ったのはだいぶ前なんですが…ブログネタの前後が激しい。)

胸がすっぱくなりそうなほどの甘そうな美術に個性的なイマジネーション、相変わらず「かわいそう」を描かせると輝く作家だなぁ、と感じさせる展開とおなかがいっぱいになる映画でした。特にダニー・エルフマンの曲は聞かせどころたっぷりの展開で愉快痛快。気色悪さが気持ちいいと言えるような音楽。

映画の中でひっかかった点が主人公チャーリーが落ちていたお金を拾って、チョコレートに使ってしまう流れ。それで”しっぺ返し”があってもっとカワイそうな展開になるのかと思ったらスルー。
(「この盗人がぁ!このアタリのチケットはワシのもんじゃぁ!」なんて感じのかわいそうな見せ場を期待してました。)

それでいいのか?ティム・バートン!?と思ったのだけど、同行したティムバートンファンに言わせれば「だってティムはそれを悪いと思ってないもん。」
という返答。
『シザーハンズ』の中でも問われる善悪の感覚で、彼にとっては「拾ったお金で大切にプレゼントを買うのはいいこと」と答えるエドワードに通じる考え方らしい。なぁるほど、と言うか……。
落し物は神様の贈り物で見つけた人の物。落とした人は関係ないし、想像の外側、自分には関係ないと切り捨てる考え方はある意味ティム・バートンらしいクールさを感じて少し寒気がした。
確かに交番に届ける正当性を無垢な魂が納得できる説明を考えれば割り切り方としてアリなのかもしれない。

もうひとつ意外だったのがラストのハッピーエンディングのバランス感覚。
理解者は一人だけでも居れば幸せというのがティム的美学だと思っていたのに、今回はもっともっとハッピーな結末で、理解者は”家族”という落としどころに発展していました。ティム・バートンも結婚して家族を持って変わったんだなぁ。

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_ マクノスケblog - 2005年11月24日 15:14

ティム・バートンが帰ってきたーっ!! 「猿の惑星」でこんなのティム・バートンじゃないーと嘆き「ビッグフィッシュ」で大人になっちゃイヤーと淋しい想いをしていただけに、この弾け具合がたまらなく嬉しかったりしています!! 本筋もなかなか泣けるい~い話なんですが..