初日、『ニューシネマパラダイス』デジタルリマスター版2005年12月23日 11:59

立ち見が出る盛況ぶり
楽しみにしていた「デジタルリマスター版」封切に足を運びました。

慣れ親しんだ地下道の最短距離を使い劇場に向かう足取りは15年前の気分が蘇ってきて、気分が盛り上がります。

それなりに足を運んでいる劇場なのにいつの間にやら浦島太郎状態。
シネスイッチと言えば地下の劇場で上は銀座文化だと思っていた自分は銀座文化が改名して「シネスイッチ銀座2」になっていることから衝撃でした。
15年前と同じスクリーンで追体験できると思っていたのに残念でした。
劇場だけじゃなく銀座全体もだいぶ変わりましたけどね。

果たしてDLP版はどれだけ色や画面が綺麗になっているのか。
予告編はフィルムなので切り替わる瞬間を見つめました。
左右の映写窓はフィルム映写機で、真ん中の映写窓がDLPプロジェクターのようです。
他の劇場でDLPは経験済みですがフィルムのフリッカー(コマをチカチカさせる機構)がない分、より自然な映像となるはずです。……が、ここで既に違和感。『ニュー・シネマ・パラダイス』は再三の編集を重ねているために最短の123分版でさえ、編集でハサミを入れて結局戻したと思われる箇所のコマが飛ぶのですが、スムーズな光だけに凄く異質な飛び方に感じてしまいました。スクリーンサイズゆえの違和感です。

画像は明るくてディテールは見やすいのですが、コントラストが弱く暗い画面が弱い印象を受けました。トーンカーブを上げる発色と言うよりは単純に明るくしただけに思えて微妙な仕上がりでした。しかも一部はフィルムの粒子を感じさせる高画質ぶりに驚かされる反面、それならフィルムでもいいのではないかと思わされる場面も。

何よりも編集が当時のままではないので「気に入らーん!」と(広場の狂人風に)感じました。

会社ロゴがヘラルドからアスミックに変更になったのはしかたがないとして、「完全版」と同じ受賞暦のロール、これも許せます。

キスシーンのカットを命じられるシーンで不平を漏らすアルフレードの音声の欠落、これは完全版でも欠落していました。

ペッピーノの引越しを見送るシーンのBGMが完全版のバージョンになっていたこと、ここまで来ると12周年にアメリカで製作した完全版からのデータを流用しているのではないかと懐疑的になってきます。

青年トトがジャンカルドを去るか悩むシーンもBGM無しで空気や生活のノイズだけだから”去ることの重み”を表現できていて良かったのに、ここにも曲がかぶって……。

細かいことをツツくのはマニアの悪い癖だとは思います。そういう意味においては自分の言ってることはマニアのたわ言です。

……でも、ブリジット・フォッセーなしのエンドクレジットは…ダメでしょ。

初公開時、一番話題になっていたのはエンドクレジットに現れる謎の老女でした。その人を見つめているトトの視線でエレナとの再会を”誰にでも感じさせる”ように出来ていたからこそ、多くの人が話題にしたのだと思うのです。
もちろん、現状でも”トトの視線”だけは生きているので”視線の先”を想像させることは可能です。しかし、それではあまりに不親切です。
ビギナー歓迎の公開なのだからやさしくしてあげたいところです。


散々に書いてから気づきました。この感情は初めてのものではないと言うことに。
今回劇場でかけられているデータ(←あえてこう呼ぶ)は12周年にアメリカで完全版デジタル・リマスターを作り、その派生で誕生した123分リマスター版です。ついでに製作されたようなバージョンなので細かなディテールがズレてしまっているのです。

劇場で未見の方に機会があることには素直に感謝しています。 はたまた昔の客にとってもスクリーンで再会する機会、嬉しいです。
それはトルナトーレ監督のコメントにお客の立場から激しく同意です。

進歩や変化は悪いことではないし、時には必要なこと。
再生に変化はつきもの、再生への祝杯に水を差すべきではないのだけど。
あぁ、マニアは我ながらやっかいだ。
できるなら不備のないものを次世代に渡したい。

劇場ロビーには監督が書いたメッセージが飾られています。

ジュゼッペ・トルナトーレ

映画というものは、観る人がいて初めて存在するものです。
初公開から何年も経た今、ふたたび「ニュー・シネマ・パラダイス」が映画館で上映されることを知り、大変喜んでいます。
当時この映画は沢山の方にご覧いただき大成功を収めましたが、更に今回、日本の観客の皆さん、特にその頃まだ生まれていなかった若者たちに、もう一度映画館でご覧いただける機会がもうけられたことは、大変名誉なことです。
めったにないこのような特別な機会をもうけてくれた関係者、そして何より、映画館に行って、私の作品にふたたび存在する資格を与えてくださる観客の皆さんに感謝します。
皆さんに抱擁を、そして皆さんの愛情と思いやりに感謝します。
メリークリスマス、良いお年を。

ローマにて、2005年11月26日


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50年代流行り商品? ~携帯電話クリーナー「ミッキーマウスクラブ」2005年12月23日 21:05

携帯電話クリーナー「ミッキーマウスクラブ」東京ディズニー・リゾート
先日のディズニーランドで購入した携帯電話クリーナーです。
ミッキーマウスクラブのミッキーマウスと言えばTV時代の黄金期! と言えば聞こえはいいですが銀幕での短編アニメーションも終わり、作画デザインも迷走しまくった末期と言う印象の時代。

最近のアニメ二乗的には50年代テイストが来ているのは肌で感じていますが、商品開発もここまで端っこに来たのかと思う状態。
いや、このミッキーもいまや好きと言えば好きですけどね。