映画『嫌われ松子の一生』2006年06月12日 14:12

突然に誘われ、映画を見ることに。しかも自分が選んでいいと言うことに。
見たい映画はいつでもたくさんある。今期だと『ピンクパンサー』に『プロデューサーズ』ときて 『嫌われ松子の一生』もみたい。
話題の大作の名がないのは気のせいではなく、趣味の問題。ところが当日の日取りは『ピンクパンサー』は昨日で終わった、『プロデューサーズ』も以下同文で翌週から二番館。こうなると選択肢は『嫌われ松子の一生』のみ。 プランも立てずに歓楽街に来てしまった一行はスケジュールのバッドタイミングに見舞われ2時間の待ち時間を余儀なくされたのでした。

TBSラジオのヘビーリスナーな自分は映画の前情報をかなり耳にしていましたし、知り合いの評判も上々。(後で気がつきましたがTBSは出資している会社だから宣伝もかなり力が入っていた局のようです。)
劇場に赴いてみて驚いたのは邦画であれだけ満員の劇場なんて何年ぶりだろうと言う盛況、そして見終わった人々の満足そうな声。
邦画だからと余裕をこいて時間を見計らったら、席はほぼ満席。確保で着たのは最前列から2番目と言う状態。劇場に満ちた”映画館の熱気”が心地よい盛況振りでした。

映画は「嫌われ松子」こと川尻松子の不幸な一生をミュージカルで見せるファンタジックな逆シンデレラ・ストーリー。松子の生前済んでいたアパートを片付ける羽目になった甥が、断片的な情報を照らし合わせながら待つこの人物像が浮き彫りになっていく展開で、同じシチュエーションが人物Aから聞かされた場合と人物Bから聞いた場合で感じることがまったく違ってくるあたりが心憎い展開です。
また、ひたすらに運のない(元凶は松子の男選びにあるのですが)展開になりつつも残るものは救いがある印象。「嫌われ松子」と言うタイトルではあるものの”嫌われていた人物像”の活写ではなく”愛されたいと常に願いつつ、それを感じることなく一生を終えた女性”の話だったのだと気づかされる。悲哀さとファンタジックな清涼感も残る後味は個性的で快作でした。