映画『黄色い老犬』を想いかえす2006年11月18日 03:57

『黄色い老犬/OLD YELLER(1957)』バンダイビデオネットワーク-ディズニーホームビデオ・プロジェクト
海外で犬にかまれた人が狂犬病を発症した人が国内で見つかり、亡くなったニュースを聞き、改めて狂犬病の怖さを感じました。発症してしまった場合、死亡率ほぼ100%と言うのは今回の報道で初めて知りました。

Asahi.com :京都の男性が狂犬病 発症36年ぶり、フィリピンで感染 2006年11月16日

不謹慎ながら、今回のニュースを聞きながら一本の映画を思い出していました。
『黄色い老犬/OLD YELLER』1957年のアメリカ映画。
昔は知名度のある作品だったと思うのですが現在での知名度は高いとは思えません。古典的名作としてもう少しソフトが供給されて欲しい映画です。

『ラブバッグ』の監督…と言うよりも世間的には『メリーポピンズ』や『海底二万マイル』を監督したロバート・スティーブンソン監督作。
バンダイ~ポニーキャニオン時代のディズニービデオについていたOP映像では代表的なディズニー作品がパレードのように登場しますが、その中で舌を出して首をかしげている黄色い老犬こと”イエラー”が入っています。

物語は開拓時代、父親が留守の間、母と男の子二人で暮らす家庭に押しかけるようにやってきた黄色い老犬。最初は迷惑な犬として取り合わない長男だったが、幼い弟が遊び相手として気に入って飼う事になり「イエラー」と名づけられます。
狩りの手伝いや番犬として大活躍を見せ、家族にとってかけがいのない存在になっていくイエラー。しかし家族を守るためにオオカミと戦い、狂犬病にかかってしまった可能性があるので結果が分かるまで隔離しなければならなくなります。発病の期限を考えるとそろそろ大丈夫ではないかと言う頃……。

開拓時代の厳しい生活の中で犬との交流で少年の成長を描く古典的名作。

小学生の頃、かわいいファミリー・ストーリーだと思い込んで『子鹿物語』を見て結末に衝撃を受けたのですが、それに似た印象のある作風です。

狂犬病の恐ろしさを改めて知って物語の持つ意味を考えてしまいました。
愛犬の予防接種にあまり重要なものだと言う意識がなく育ってきましたが、ここまで大変なものだったとは。

ミッキーマウス78歳誕生日2006年11月18日 16:22

Mickey's Eyes
ミッキーマウス生誕78年。人間だったら相当な年齢ですが、さすがマンガ。いまだに若々しい……と言いたいところですが、長い年月を経てその時々で変化するのがキャラクター。ミッキーも色々変化しました。

これからどんな変化をしていくのでしょうか。

黒目のみ(~'30)から白目を得たとき('40)に、ミッキーは目の外罫線は横幅を与えられ、柔和な顔立ちに描かれるようになります。その延長線が人畜無害な枯れたようなデザイン。 眉毛を加味された('50)後のコンセプトのズレっぷりは、表情表現の一番になるはずの眉が常にたれっぱなしと言う……。

それでも何度か黄金期(40年代的?)に揺り戻そうとする集団無意識のような新イラストが何度か浮上してきましたが90年代に如実に変化が表面化したように感じます。(スタイルシートの更新年月と担当者が分かればより、ハッキリいえるのですが。)

90年代に入って一番変わったのは”ポップさ”を求めた縦長の目です。そもそも30年代までの黒目オールドスタイルの良さは誰しも認める物で、新作を作る際にもその良さをどうやって白目ミッキーに取り入れるかがテーマだったと見受けます。
その結果、横顔の時に描かれる縦長の目の比率を正面から見ても同じように描くように変わりました。これは黒目ミッキーの目の外形をそのまま白目の輪郭に生かす手法で、良い所取りのアレンジが完成していると思います。

しかし車のデザインが直線的なものと曲線的なものを往復するだけだと言うのと同じようにミッキーの顔も両極を往復するだけのようです。
『ファンタジア2000』で登場する新作画部分は縦長の目の比率は90年代のまま、目の位置は丸型だった旧時代の位置に配置してしまったのか”離れ目”のような印象を受けます。

この文章、あえて見返さずに書いているので再視聴したら的外れな意見を書いているかもしれません。
言うほど縦長の目でもなかったような気もうっすらします。

製作は別スタジオになりますが2000年代のビデオ新作やTVシリーズのTOON・ディズニー製ミッキーの一部に、見事な離れ目が現れるようになりました。この流れが続くならミッキー作画の流行は目離れなのかと……。

考えてみれば昨今の流行は50~60年代テイストのイラストが多く溢れているような気がします。モダンペッツのデザインのミッキーマウスもその流れに居るような気がします。(もっとも、チェブラーシカとか、その他もろもろの流行のテイストを受けていると言う方が正しいのかも。)
それで考えると最近のミッキーが50年代的な人間くさい顔として求められた結果なのかもしれないと納得する部分もあるのです。
しかし、個人的には離れ目ミッキーは嫌いです。

これから迎える節目で新たな変化、揺り戻しがあるとしたらどちらへ行くのでしょう。離れ目が進んで人間のような顔に拍車がかかるのか、それとも初期のよさを取り戻そうとするのか……。

80周年が楽しみなような怖いような。