映画『オープン・シーズン』 ~技術面の雑感 ― 2006年12月11日 12:52

技術面で言えば背景のデザインの妙味! ハンドドローイング(手描きの絵)を貼り付けているのではないかという見栄えは狙って2Dに歩み寄った結果だそうです。(メイキングの文章が読みたくてパンフレットを開くのが楽しみでした。)
パンフの解説文によれば今回の背景処理はアイヴァンド・アールのスタイルを3D背景で再現させようというコンセプトで生まれたもの。氏と言えばディズニーファンには開催中の『ディズニー・アート展』で「眠れる森の美女」の背景がフィーチャーされまくっていたあの人です。直線的に整理されたシュルエットに質感をコラージュのように描きこみ、建造物は微妙にゆがめて非対称的に描くスタイルは個性的です。
今回の特色が”2Dと3Dの融合”と言う解説を読み、結局のところ時代は繰り返すのか、という想いもこみ上げてきます。
平面である絵をマルチプレーンカメラなどを駆使し写実的に遠近感を描き、再現しようとしていた長編アニメーションの流れが一つの到達点を得て、ソコから次へのステップとして平面であることの長所との融合を目指した転換期に生み出した一つのスタイルがアイヴァンド・アール風だとしたら、3Dデータから画面を生み出す逆の発想であるCGアニメーションの目標が結局のところ二次元との融合と言う中間点が目標と言う時代の流れが面白いです。(もっともJ・ラセッターは当初からカートゥーンの再現を目指していたわけですが。)
カートゥーンとの歩み寄りと言う点ではスクワッシュ・アンド・ストレッチ(縮めと伸ばす)を各社、色々なスタイルで再現していますが「オープン・シーズン」では骨格を軟質にしたように変形させる技術で再現。ギャグシーンで最大限に活用されて居ます。このドタバタぶりは白眉。
そして、背景技術面でのもう一つの驚きが水の描写。これだけうねりながら激しく流れる水の動きの描写と上がるしぶき、技術進歩の速さに隔世の感があります。
……と技術面でこんだけ盛り上がってもやっぱり重要はなのはストーリーや演出です。技術的な驚きよりも洪水の流れに気がつきキャラクターが無駄な抵抗をする”ワイリー・コヨーテ演出”に爆笑、引き込まれる自分はやっぱりカートゥーンファンです。
と言うわけで内容面での感想に続きます。
(つづく)
イチョウ並木 ― 2006年12月11日 13:08

余りに見事な葉の色にシャッターを押しました。僕だけではなく向こうから歩いてくる人も撮影していました。
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