フィリップ・ノワレ/サイン入り写真2007年02月24日 03:37

Philippe Noiret / (c)M. Pelletier sygma
サインは直接貰うならば理解できるけれど、買う人の気持ちは理解できないとよく言っていたのだけど、故人になってしまった場合はしょうがないのだなぁ、と我が身になってみて分かるようになりました。

これまでフランス映画祭で来日しないかと心待ちにし、ネット時代になってから海外のネットオークションで探してみたこともあったのですが、今までは見つけることすら出来ませんでした。ハリウッド俳優のサインならば専門で扱うお店も多く、流通が確保されている印象なのですがヨーロッパ映画界は雰囲気からして商業主義との壁を感じる文化の空気を漂わせています。
そうは言ってもどこの世界にだって商売人は居るはず。このタイミングならばと思う人が居てもおかしくない。そう思って改めて探し、初めて売られているオートグラフを見つけることが出来ました。

見つけたのはヨーロッパの有名人を扱う業者さんのようで他とは違う顔ぶれがならぶ品揃えで、お値段もお手ごろでした。ebayで海外にゴジラを売ったネット上の貯金とほぼ同額だったので、ゴジラで支払ったような気分です。先日の国民健康保険といい、ゴジラは通貨かっ!

注文したサインは『イル・ポスティーノ』を思わせる、石造りの家の窓から顔を出している近年の写真だったのですが、注文したとたん画像のものは品切れていて他のものなら用意できると言われました。選択肢は2タイプの画像で一つはいかにもポートレイト風のさっぱりとした画像。洒落者らしい着こなしで笑顔。そしてもう一つが冒頭の馬と写っている写真。写真の主役が馬なのか、ノワレさんなのか悩んでしまうほどお馬さんの写真です。

悩みに悩んだ末、決めたのは馬との写真でした。
面積的に言えばなぜ主役でないような写真を選んだのか、謎に思われる写真でしょう。知らない人が見れば調教師の写真と勘違いするかもしれません。

選んだポイント。
俳優フィリップ・ノワレは動物、子どもとの競演で食われない珍しい俳優で、むしろそのコンビネーションで印象を残している作品が少なくありません。 子どもとの競演は言うまでもない「ニュー・シネマ・パラダイス」「地下鉄のザジ」。犬との競演「ぐうたらバンザイ!」「夜ごとの夢~イタリア幻想譚~/青い犬」。
そして馬と言えば、馬好きキャラクターを演じた当たり役「フレンチ・コップス」のポワロンが浮かぶ。
ハンチング帽にヒゲのスタイルは「ニュー・シネマ・パラダイス」のアルフレードを思い起こせるのも嬉しい。
スターではなく名バイプレイヤーとしてキャリアを重ねたフィリップ・ノワレらしさであり、映画の記憶をたくさん思い浮かべる事が出来る写真は魅力的です。
注文をして待ちわびること数日。なぜか届いた二つの封書。 同じ写真でありながら、筆記具が太いバージョンと細いバージョンが届きました。業者さんは間違えて2つ送ったので一つ送り返して欲しいと送金してきました。
またもや選ぶことに。悩んだ末、決めました。
年末年始の郵便事情が一番悪い時期だったのとズボラで返送は年が明けて正月が過ぎてからでしたが……。


「ニュー・シネマ・パラダイス」への熱狂以来、部屋にポスターやらポストカードやら何かしらノワレさんの写真を飾り続けていますが、又一つディープな世界に踏み入ってしまった印象です。
現在、額装してPCの上に飾っています。