『大地獄城・血だるま力士』復刊!2007年05月12日 14:37

大地獄城・血だるま力士/平田弘史(青林工藝舎・刊)
この春、自分にとって待望の漫画が復刻されました。
それがこの本『大地獄城・血だるま力士』です。

中学~高校時代に他の漫画を目当てに集めていた昭和40年代の『週間少年キング』。その誌上で『大地獄城』に出会いインパクトと引きのある展開にすっかり魅了され、平田作品を注目して読むようになりました。
当初目当てだった目当ての漫画の連載が終了している号も平田漫画を目当てに集めるようになってしまいました。約20年かけて掲載号を集め、自分にとっては20年間連載されていたような錯覚を起こす作品です。最終回を入手したのは、昨年。自分にとっては、まるで誰かが見計らって連載をまとめたかのような単行本の刊行です。
今まで幻の作品として扱われていた作品が気軽に購入できる読んでもようになったことは喜ばしいです。

その作品『大地獄城』は強烈なインパクトを残す作品です。
城主への復讐を計画する男が自分の正体を隠し、その城に遣え虎視眈々とそのタイミングを見計らい出世を重ねていきます。ある戦の最中についに決行され、城主は洞窟に幽閉され爪を剥がされ、手足を切り落とされ、顔を焼かれ、舌を抜かれ面影残らず変貌するまで惨い仕打ちをされながらも、生かされ続けます。そして城の囚人として地下に幽閉され、労働を強いられるようになります。どんなに訴えようとも家族に伝わらない想い。そして、不可能と思われながらも逆転劇を夢見るようになります。

この作品は1961年に発表された「復讐 つんではくずし」のリメイクですが、連載の回数が予定よりも大幅に増え、次の連載作品を押すほどノリに乗って描かれたようです。内容だけでなく、その確かな画力のある人の滑る筆さばきは見ていて心地よく、欲を言えば雑誌復刻なのが悔やまれます。

併録の「頭突き無双」は気がつけば自分が持っているだけで3度目の収録。自分のファン生活が三周目になったという驚きもあるのですが、それよりも傑作ゆえに収録率も高い作品なのだと解釈できます。
こちらも平田マンガらしい、飛躍した発想とそれにリアリティを与える描写に惹きこまれる作品です。

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