ぬいぐるみの世界においてモンチッチはエポックメイキングな存在だったと思います。ブームがおきた70年代、他のブランドも影響を受けてソフビパーツを使用した複合素材で、そして手ごろな“モンチッチサイズ”でぬいぐるみが多数リリースされました。

自分の記憶が正しければ、この「ちびちびシリーズ」もその系譜になる商品だと思います。70年代に発売されたこのシリーズは、人気があり、ロングラン商品になり、マイナーチェンジを続けていました。我が家のトムは布製の手ですが、時期によってはソフビ製の手のトムも現存します。また、それに反して不思議なのがジェリーで、手の先がかなり大胆な省略です。トムで見られる親指と他の指のミトン状の二股ではなく、親指すら省略された手は、まるでソックス状態です。おそらく体と一続きのボア素材では親指まで縫うにはサイズが小さすぎたのでしょう。
ディフォルメセンスのおもしろさは尻尾にもあって、ジェリーはヒモが縫い付けられています。現在の目で見ると不思議な処理に思われるかもしれませんが、70年代ファンシーとしてはジーパンがハイカラに感じたように、アメリカンなセンスだと感じました。（自分だけ？）

自分にとっては幼少期に買ってもらった、人生のほとんどを共にしたトム人形（苦笑）。愛着もひとしおです。自分はジェリーはいらないと買ってもらわなかったのですが、コレクターになってから欲しくなりました。姉がトムもジェリーも買ってもらっていたおかげで後年、譲り受けてコンビを揃えることができました。……いや、正確にはトムと、トムとジェリーのトリオになってしまったのですけど（＾＾；