日本にやってきた「スティッチ!」雑感2008年10月10日 01:37

TV Bros. 2008-10/11-10/24 (No.21) Stich!
10/8ついに日本オリジナルのディズニーアニメーション『スティッチ!』が放送開始された。
ディズニーランドに続き、アニメーションのキャラクターまで独自の形で輸出させ、日本に招き入れた国、日本。“初めて”を引き出す日本は、ディズニー社にとって、やっぱり特別なマーケットなんだな。

スティッチ!公式HP:http://www.disney.co.jp/character/stitch/okinawa/

発表前からささやかれていた噂、正式発表された製作体制、徐々にあきらかになる設定。不安と期待が過度に大きくなった状態での視聴。いろいろ思わされることが多い作品だった。

とりあえずの感想は「クリスはこれ、どー思ってんの!?」。
クリスとは言わずもがな、スティッチのオリジナル・クリエイター。映画の『リロ・アンド・スティッチ』の監督も務めたお方。

クリス・サンダースHP:http://www.chrissandersart.com/

今回の日本アニメ『スティッチ!』はカケラもクリス・サンダースの息吹を感じない、正に新手法に感じました(嫌味)。先の『パワー・パフ・ガールズZ』についていけなかった自分としては、既存キャラクターのデザイン(&パーソナリティー)を変えずに持ち込む続編作りは入りやすいと……思っていたんですけどね。(別物って意味では同じ!?)
Stich !/Japanese flyer

見事に既存キャラクターと新規キャラクターが水と油。トータルバランスがとられないデザインに面食らいました。眉の下に鋭角な三角影を入れるなど、見事なジャパニメーションぶりなのだから、イヤハヤ恐れ入りました。いやさ、無理して描けないデザインで苦しそうな作画になるよりはいいとは思いますが。

しかしもってリロのポジションになる日本人キャラクター「ユウナ」が、リロの影を強く引きずってるのはどーなん!? 赤地に黄色のポイントが入る基本服装は映画のリロの基本イメージと強くダブる。仕事に没頭して帰ってこない父を寂しく待つ姿は、劣化コピーにしか感じられなかった。

そもそもリロ&スティッチのコンビの良さは、内面においての相似形という部分が強かった。寂しいからケンカしたり、暴れてしまったりという幼さからくる感情表現が家族とのコミュニケーションによって解消されるステップが自然だった。そのステップもリロの個性に引っ張られる部分が大きかった。エルビス・プレスリーのレコードを大音量でかけて、「死について考えてるの」なんて子供は、やっぱり変わっている。その個性こそが魅力的でスティッチとの関係に説得力があったはず。
スティッチ! /番組宣伝用チラシ(裏面)

ユウナは小学四年生。祖父から継いだ空手道場の師範を務めるしっかりもの。でも表面上は強がっていても父を慕う寂しさも備えている……。級友のいじめに介入して救ってあげる行動といい、優等生すぎる人物像。はっきり言ってスカスカしてるんだよな。誰かが血を分けて創ったようなぬくもりを感じない。その優等生ぶりは保護者がディズニーに対して想像する“教育的なもの”といった感じで、うわべを装おうムードが従来スティッチ世界と遊離している感じ。この子に「イイコト」を学習させるよう導かれるのは、もう学校に通うくらいツマンナそうだ。

まあ、無味無臭であるユウナがシリーズを通して厚みを増す可能性も捨てきれないので、結論には早いと思うけど、今のところダメな感じ。

輪をかけてオバアなるキャラクターも中身を感じない人物。沖縄の言い伝えや作法などを教えてくれるキャラクター。唐突に登場して解説はするけど、ストーリーには介入しない傍観者ぶりは、激しくがっかり。
スティッチに箸を使う作法は教えるけど、食べている最中に部屋を走り回る行儀はスルー。

つか、この作品、こんなに真面目に語る値があるのだろうか。

そもそも数年前に日本のスタジオを閉鎖したディズニー社が、その系譜ではなく別のスタジオに丸投げし、製作されるアニメーション。期待した自分が悪かったのだろうか。

ある意味マッドハウスらしい止め絵を回転させたりして見せる(枚数の)省略は評価していたのだけど、既にTVアニメーションシリーズが存在するスティッチではイメージが固定されすぎていて、ツラいものがある。いっそ、キャラデザインの分離ぶりと同じように日本のキャラクターは動画枚数を普通のTV用、スティッチやジャンバたちは海外TV版なみの動画枚数とかだったら、素直に落差で爆笑できたのに。(狙いじゃねえか)。

枚数は少ないけれど安定した作画で見せるアニメが多い日本的アニメ流儀にのっとり作画は安定感がるのだえど、いかんせん動きが寂しい。普通に考えれば第一話は他の話数より力が入っているだろうから、以降に期待するのは難しい。

その分、他の要素でカバーを! と思うけど、音楽はこりゃまたフリー音源みたいな芯の無さで、寒かったし、演出もお膳立てが順番に流れてくるようなトローい感じだし。

せっかくの舞台も空気感、存在感を伝えるでもなく……そもそも沖縄の架空の島として時点でファンタジー色が強くなってしまっているのに、輪をかけて実在の動植物までファンタジー色が強いデザイン。そんなら沖縄じゃなくてもいいんじゃない?

ユウナがいじめっ子を前に唐突にサトウキビを折り、“やる気か?”と思わせて、「甘いよ」と差し出すシーンなんか、正に記号のみといった感じ。
サトウキビ畑のザワザワした風とか、キビを折る時の質感とか、こだわるべき部分って、他にあるんじゃないかなぁ。

まぁ、アニメは始まったばかり。様子を見よう……と、言いたいけど、1本あたりの満足度がこれじゃ、視聴が続くか自信ないっす。枚数が少なくたって、演出でカバーできることって、日本は得意あんじゃないか? もっと、がんばってくれよぉ。

キャラクタービジネスの為だけの中身のないフィルムに付き合い続けるほど、こちとら暇じゃない。沖縄の良さや、改めてのスティッチの良さを伝えるフィルムを作らなかったら、自分は離脱します。

はっきり言ってビデオスルーのパート2より、たちの悪い新ビジネスって可能性もあんぞ、これ。
セブンイレブン限定/スティッチ!べんとう/チラシ


※唯、BIGINの主題歌は、割と気に入った。GJ!
※画像1は現在発売中の「TVブロス」。スティッチ特集と、刺繍の“スティッチ”を特集するあわせ技。ウマイ!
※画像2と3はディズニーストアで配布されている番組宣伝チラシ。B5ペラ、両面カラーで映画のチラシと同様のスタイル。
※画像4はセブンイレブンで配布、同店舗で限定販売されている特製の弁当の宣伝。A4版。文意とは関係なく、現在を取り巻く状況の参考のため掲載。