梅雨入り、待った ― 2009年06月15日 15:16
気難し屋の龍=気分屋のドラゴン=おちゃめなドラゴン≒リラクタント・ドラゴン ~竜の呼び名漂流記 ― 2009年06月15日 19:39
この作品の1941年にアメリカで公開された作品で原題は「Reluctant Dragon」という作品です。厳密にはこのタイトルは劇中劇の作品名で、映画のタイトルとしては『BEHIND THE SCENE AT WALT DISNEY STUDIOS』というタイトルです。映画のアイデアを売り込みにディズニースタジオを売り込みにきた主人公が、アニメーションの製作過程を見て回るという内容で、中で登場するアニメのひとつがこの「Reluctant Dragon」という構成です。パートカラー作品で、実写部分は基本、白黒ですがアニメーションと絵の具の説明をするパートがカラーになっています。
終戦後、日本ではかなり遅れて劇場公開されていった流れもあって、この作品は長らくパンフレットで名前を紹介されるだけした。その頃はまだ長編漫画映画にも数えられていた作品で『ファンタジア』の次に位置しています。情報の混乱があったのか、その際のタイトルは「Reluctant Dragon/気難し屋の龍」で、長らくは想像だけで楽しみにされていたのだと思います。なぜか総タイトルではなく、劇中アニメをさすこのタイトルが総タイトル扱いでした。

やっと公開されたのは1956年3月。“自然の冒険シリーズ”第二作『滅びゆく大草原』の併映として本邦初公開。他に『メイク・マイン・ミュージック』から「くじらのウィリー」1本だけを独立させた短編と併せた計3本が上映された興行でした。この時のタイトルが『ディズニー撮影所御案内』。劇中劇の竜のアニメは「気むずしかし屋の竜」となりました。[※冒頭画像は、この時のパンフレット(部分)]
80年代前半に発売に初ソフト化。ビデオタイトルは『魔法のアニメ王国~ディズニー・スタジオ・フル・アニメのできるまで』。日本の劇場版は短縮版だったとこともあり、全長版はビデオが初公開になりました。
ビデオパッケージに劇場公開タイトルが無いのが気になるけど、記録が無かった可能性だけでなくディズニーソフト全般で劇場タイトルを入れる風習が無いので、そっちの可能性も捨てきれません。
(この画像は80年代後期版パッケージ。)
このビデオ版での竜のアニメは「気分屋のドラゴン」。
しかし、劇場公開された記録は消えてしまったのか、80年代後半の雑誌、パンフレット記事などでは未公開作品扱いに逆戻り。

90年代後半にはアニメ部分を切り出し、なぜか『こぐま物語』からバラされた「ミッキーと豆の木」とカップリングされ「とっておきの物語」としてソフト化されました。
※現在発売中のDVD版。「おちゃめなドラゴン」アニメシークエンスのみ収録
この時のタイトルが「おちゃめなドラゴン」でした。
これだけ出されるたびにタイトルが変わる作品も珍しいでしょう。
『トムとジェリー』の邦題が、再リリース時にブレなかったのは、歴史的な蓄積記録を開示し、ファンの要望として送ったからというのはトム・ジェリ・ファンには有名な話です。あのこだわりのおかげで僕らは混乱することなく世代を越えて同じサブタイトルで『トムとジェリー』を楽しみ続けています。
その正反対の例が「Reluctant Dragon」。(およびディズニー・アニメ。) 世代によって認識ばらばらで、一致しないキャラ名で呼ぶ結果となっています。
現在では実写シークエンスが絶版でアニメのみが流通という特殊状態。いや、68年たった現在、部分的にでも流通しているだけ奇跡なのかもしれませんが……。
きっと当の竜クンは呼び名なんて気にしなさそうなノーテンキなキャラクターですが、呼び名の不統一ぶりに自分こそ気難し屋になってきました。
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