映画『ボルト』試写会~三匹荒野を行く! ― 2009年07月05日 23:25
そのコピーは、
この夏、ディズニーが贈る《奇跡の旅》の物語。
オールドファンにはピンとくる『奇跡の旅』と言えば90年代の同名映画もありますが、ここで指してるのは明らかにオリジナル作品『三匹荒野を行く(原題/原作タイトル“奇跡の旅/The Incredible Journey”)』。
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犬と猫たちが飼い主の下に戻る旅という王道の筋で、この作品を避けて通ることはできません。ましてや今回の作品のかもすポスターなどのビジュアル群は、髣髴しないほうがおかしいじゃないですか。
そんな観点から、前出「分かってるなぁ」の感想になるわけですが、それは『奇跡の旅』をいつまでも忘れられない、おじさん・おばさんたち。知らない人にとっては、なんとも無味無臭のコピーでしょうねぇ。
もうひとつ事前に気になっていた要素が、スタッフの交代劇。
この作品のワークタイトルは「アメリカン・ドック」。TDLのディズニーギャラリーでも2005年にイメージボードが公開されていましたが、あのころはクリス・サンダース(スティッチのクリエイター)が船頭役で動いていた映画。薄れた記憶をがんばって引きずり出してみると、もっとポップなキャラデザインと、町もシックなレンガが目立つ景色だったような……。
ジョン・ラセッターがクリテイティブ・オフィサーに就任してほどなくしてサンダース降板。サンダース好きにとっては、残念な結果になった作品ですが、片鱗が残っているのかも注目ポイントでした。
■クリス・サンダースHP:http://www.chrissandersart.com/
結論から言っちゃうと、サンダースの味はほとんど残ってない……かな。
本作は良くも悪くもラセター就任後の「ディズニーブランド復権」をかけた1本。古いディズニー作品の記憶を呼び起こさせる要素を巧みに織り交ぜながらイマ風の刺激も備えている娯楽作といったテイスト。
脚本に関しては、そんなにもラセッター的にならなくても、と思ってしまうほど『トイストーリー』や『カーズ』に共通する部分を持っていて、いったいどれほどの影響力が現場にあったのか気になってしまいました。
予告編で公開されている要素で言えば“ドラマを現実と信じている犬”(※これはサンダースが作った設定らしい。)が現実との世界の境界線を意識するくだりは『トイストーリー』のバズを思わせるし、バディ・ムービー&ロードムービーの空気自体が、どちらかというとピクサー作品のそれを想起させてしまうから不思議。
逆に言えばラセッターの持っているテイスト自体がW・ディズニー存命末期の作品群に強く影響を受けているのだと気づかされました。(もしくはディズニー・ブランドに求めるテイストが、そこなのでしょう。)
正直、映像的な“刺激性”が虚構部分に押し込まれているせいで、本編(=テーマ)がとても地味で、バランスの難しい配分だった思うのですが(実際、劇中劇はやや長すぎる感アリ)、それらを差し置いても魅力的に仕上がった三匹には喝采を贈りたいです。
そして2つの世界を見事に描いたパウエルのサントラが出色。これは燃えるゼ! そして癒される!
コメント
_ fziro ― 2009年07月13日 10:51
_ しらいしろう ― 2009年07月13日 17:58
2D版の試写だったので、自分は3D版を観に再度劇場へ足を運ぶつもりです。現代的なアップテンポで激しいビジュアルですが、根底に流れているのどかさは捨てがたい魅力でした。
FZIROさんの期待にかなうか不安ですが、もし余裕あれば足を。引き出しを持っていれば、きっと感じられる要素があると思います。
_ しらいしろう ― 2009年07月14日 07:35
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リメイクみたいなもんだったんですね~。
TVCMじゃあまり「三匹」を強調してないから、
『ファインディングニモ』の犬版みたいなもんだよな~と、
つい最近のを焼き直すその企画の貧しさに辟易してましたけど、
あの古の映画由来なら、ちょっと興味が湧いてきました(笑)。