「ドラえもん正座できない事件」と「ドラえもんあんよ効果」2010年03月17日 05:43

ドラえもん百科/方倉陽二作/コロコロコミック1979年9月号、ドラえもんは正座が出来ないとしたマンガ
「ドラえもん正座できない事件」はコロコロコミック1979年9月号(No.17)に掲載された『ドラえもん百科』に端を発する騒動。
妹ドラミの優秀さを際立たせ、ドラえもんを落とす事によって笑いを取るスタイルのせいもあって、“ドラミちゃんは正座が出来るのに、ドラえもんはあぐらしか出来ない”と発表。

1979年当時において、一番『ドラえもん』にかかわったアシスタントでであり、誰よりも作品を深く見ていた先駆者である方倉さん。着眼点もセンスあふれていたが、こと“ドラえもんの正座”においては見落としていた様子。
当時のこども(…含む自分)は、間違い記述に激怒or落胆したものです。しょせん大人はドラえもんをまじめに読んでいないのだと。大量の間違い指摘ハガキが編集部に届き、翌々月の作中ではドラえもんが作者・方倉陽二を「おろかもの!」と叱りつけ、間違いをお詫び訂正。ドラえもんはハンマーで方倉陽二を殴っている(笑)。
ドラえもん百科/方倉陽二作/コロコロコミック1979年11月号、ドラえもんは正座が出来ると訂正

これらの読者とのキャッチボールののち、ドラえもんが正座が出来るしくみを“ドラえもんあんよ効果”とネーミングして更に深く掘り下げて行ったのでした。It'sナンセンス・ワールド。
子供とのキャッチボールが心地よい距離感を保っていて、子供心に“設定は信用できないけど、面白い漫画だな”と歓迎される一つの騒動だったのです。単行本では正しい情報……いやさ、明らかな間違いはカットされ、整理された方倉ワールドが形成されています。リアルタイム読者のみが体験した、楽しいやりとりでした。

思えば、ドラえもんの座り方にこだわる読者を量産した唯一無二のマンガだったかもしれません。