ドラマ「怪物くん」第一話の感想 ― 2010年04月17日 23:25
その意味では、まったくと言っていいほど期待値が低い作品だったけれど、放送が近づくにつれてその盛り上がりを肌に感じずにはいられなかった。雑誌コーナーでは表紙を飾り、さまざまなメディアで話題になるにつれ、すっかりムードに酔わされてしまった。
■ドラマ「怪物くん」公式HP:http://www.ntv.co.jp/kaibutsukun/
そもそもの部分で言えばまんがそのままの世界を再現できるとも思っていないし、別物でも楽しめればそれでいいと諦めの境地。その意味、気楽に構えていたので製作現場を伝えるメイキングスチールに、コント的な安さ漂う世界に仕上がったとしても仕方がないと不安たっぷりだったのです。
しかしいざ、ふたを開けてみれば、想像上回る仕上がり。
特にメーキャップを施された三人組は、きちんとドラマに溶け込むクオリティだし話もオチャラケで濁すような脚本ではない、本気ぶりを感じるシリアス路線。それでいてユーモアも感じさせるシーンも織り込まれていて良かった。
原作でも他者視点から“人間世界”を表現するシーンはあったけれども決して主流ではなかったように思う。今回のドラマは、その視点を主軸に“人間とは”を描いていこうとしているのが、好感触。
逆に不満を感じたのはアクションを一切感じさせないクライマックスのルーズさ。いさ、悪の本拠地に乗り込むなら、壁をぶち破って怪物くんらしい爆発的な活躍を期待してしまうのだが、「よっこいしょ」と聞こえてきそうな足取りで乗り込む表現! 心底ズッコケました。
つい藤子作品の実写化というと月曜ドラマランドの枠の思い出が強く、どうしても比較対象としての基準値になってしまうせいか、某バケrやら某夢カメrよりは……と思うのも事実。でも、同じ枠で見ることが出来た実写版で近いモチーフだった『ゲゲゲの鬼太郎』の仕上がりを思い返すと魑魅魍魎が出てきて、実写としての見ごたえを求めるなら動いてくれてこそ魅力を感じるもの。アクションができてないのは痛々しいです。
しかし、ヒロシと怪物くんの出会いシーンに小学館版一話で登場した“ボールをとりに行く”を活用するとは、懐かしくも意外。でも、このイメージソースはどちらかと言えばアニメから持ってきたのでしょうかね?
中盤カラーアニメ版の主題歌をカバーした楽曲を流すなど、カラーアニメ世代へのアピールを感じると共に、ややルーズな藤子観(ンマーイをカレーライスでやらすなど)を見るに、やっぱりアニメ世代向けの作品なのだと感じざるを得ない部分も多数。
おそらくドラマは輪数を重ねると独自の世界観を構築していくだろうから、むしろ先はイメージが原作から離れてこその完成度になっていくはず。漫画と比べて喜んでいられるのは今のうちだけなのかもしれないと思いつつ、来週を待ち望むことにします。
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