22cmの恐怖 ~距離の問題なのか2010年09月15日 03:03

9/17 撮影 
過去に何度か議題にした交通機関での優先席のケータイ・オフのマナーの件。
ストレスの溜まる優先席 ― 2008年07月18日 00:17

ペースメーカー利用者のQOL ― 2009年12月18日 17:56

二回目の実際に声かけの時には、謎が氷解したと言うツイートに知人から「 いまの携帯もペースメーカーも電磁波トラブルが起きないように設計されているそうです。また電車内で携帯を切れ、と言われるのは日本だけです。」とレスをいただきました。
この時にも違和感があったのだけど、それをうまく言葉にできないまま、可能性だけをレスすることしかできなかった。おかげでこの議題に多少関心を残したまま引きずってました。

検索で遡ってみると、ペースメーカーの影響を心配し、ネットのFAQなどで話題にされることが多くなってくるのが2002年ごろ。もう8年も前。
厚生労働省がその危険性を指摘した1999年から3年、総務省から「電波の医用機器等への影響に関する調査結果 新たな植込み型心臓ペースメーカ等についても22センチの現行指針の妥当性を確認」 と指針を出したあたりで、マナーとして大きく啓蒙された流れとなっていました。

技術は日進月歩。ペースメーカーも、ケータイも進歩を続け、現在ではその干渉の可能性は限りなく低くなっているということも伝えられています。しかし、現状では旧世代のケータイのサービスも終わっていないので前述の注意距離の指針は今もって変わっていないのです。

総務省:携帯電話端末による心臓ペースメーカ等の植込み型医療機器への影響に関する調査結果 [平成22年5月17日] http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02kiban16_02000032.html

なるほど、その事故の起こる可能性は限りなくゼロだと安心して終わりたい話です。

ツイッター上で、その事故を心配をする人にこんな声がかけられているのを見ました。
otaneet:@unagi0717というか、今の携帯が日常生活でペースメーカーに影響する事はないので、若者がスルーしたのは問題ないですよ。むしろ声かけした情弱な人の方が問題あるかと。他人に声かけする程まで不安なのに、総務省が携帯のペースメーカーへの影響を調べた結果も知らないってどうかと思います
[元ツイート]


いろんな意味でネタ的なツイートを多くしている人物だけにマトモに取り上げるのも何ですが、自分のモヤモヤが、この言動ではっきりと晴れた気持ちです。
こういう考え方を問題視していたんだと。

つまり、自分のケータイは大丈夫と当人が言えるから、そのマナーを破ることに問題はないと言えてしまう。こういう人間性のない合理性。これが現代的なものなのでしょうか。だとしたら、自分はゴメンです。
現在では指針は変えられていないし、車内マナーも以前のままです。

施設管理権てものがあります。サービスを提供する側が、その施設を安全に運営するためにその空間を管理できる権利ってヤツ(意訳)です。その考え方に基づけば、交通機関は“ケータイ禁止”のエリアを設定しているのだから、それを守れない人はサービスを受けることができなくて当然です。なんで、電車乗ってんのさ。

そこまでしてケータイを使いたいならエリアをよければ済む話を、「使って何が悪い、影響ないのは立証されている」というのは開き直りに過ぎません。守れない人は、そのエリアを利用することがオカシイ。そんな当たり前にすら気が点けない。

でも、気がついても手遅れなのかもしれません。

喫煙マナーなんて言葉がルールになり、エリアによって罰則が設けられる流れは、“喫煙”だけの世界と切り離せません。いっそ、ケータイにも罰則でも設ければ……と、浮かびはすれども自分はそんな未来は望まないのです。(むしろ女性専用車両的な“禁ケータイ車両”のが現実的かな。まさに脱線。)
気づかない人は罰則にならないと気づけない、それが現代的にも感じますが、それでしか実現できない話なんですかね。こんなこと。

別に偽善者ぶりたいわけじゃありません。自分だってケータイは好きです。でも、“使えない空間”って、あった方が自分には心地よいです。映画館とか。まれに“ブーブー”とマナーモードでケータイ鳴らす輩なんかがいると地獄へ落ちろと、心からののしってます。(比べるのも申し訳ない話ですが。)

自分が被害をこうむれば怒るだろうに、他者には平気の平左。こんな考え方がスタンダードだと、サラリと言ってる人を見ると脱力しきりです。

もう、人を思いやるとか、そんなファンタジーは夢見てはいけないんでしょうか。少なくとも乗り物の中では。