映画『天使の分け前』に満足余韻2013年05月29日 23:26

「天使の分け前/ Angel's Share(2012)」Japanese Movie Pamphlet
「天使の分け前」とは、ウイスキーなどが醸造中に年間2パーセントほど蒸発して減って行くものを、"天使の取り分"と呼ぶ従事者たちの習わし。年数をかけ、その分美味しくなる酒類に天使を見るとは何ともロマンチックな言い方。

予告を見てその面白そうな雰囲気に前売りを買い、楽しみにしていたイギリス映画。

ロマンチックなタイトルとは裏腹に、主人公たちを取り巻く状況は決して平和ではなく暗雲立ち込める前半にはドキドキし、後半は主人公たちのとある計画が成功するかのドキドキで、とても面白かった。

それにしても、その計画とは「犯罪性」を含むものなのに、爽やかでむしろその成功を観客に願わせるお膳立てが、とても良くできていると思った。

「天使の分け前」公式hp:http://tenshi-wakemae.jp/

《以下ネタバレ注意》

そもそものところ、タイトルにあるように放っておいても減る、試飲で減る、という前提。オークションで高額になる希少性のある酒の値段のつき方が、湯水のように競り上がる固定された値段があってないようなもの。そのお酒を天使が飲むのと同じくらい少量なら、拝借しても……。
本当なら犯罪なのに、観客に応援させてしまう気持ちを作る主人公の置かれたドラマのテーマ性。

比較で語るのは申し訳ないけど、今年の某子供向けアニメ映画Dが、博物館から展示品を盗む内容だった。その中で、犯人の罪を問わない能天気なラストに大人の観客は誰もが無責任と引っ掛かりを残していたのを思い出し、そこにはもう少しこの映画のような工夫が欲しいと思わされてしまった。

仲間たちの、分け前のそれぞれの使い道を見せるラストもそれぞれで、キャラクター性や、もっと広い未来を感じさせるものとの振り幅を同時見せるのが、ほっこりする。しかもどちらも一つのモチーフの振り幅ってのが可笑しい。
あるものは望む世界へ羽ばたき、あるものは「呑んじまおう!」と言う、あのラスト。自分好みの、良い映画だった。

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