落書きの一人歩きから想い出す、ラクガキじゃない旅2013年08月16日 23:59

自分史まんが道で、実はTVアニメ『モジャ公』に際した小学館掲載コミカライズが大きな存在だったりする。これ、描きたくて当時ウズウズしてた。
でも師匠Moo.念平版(学年誌「小学二年生」)とまんが道なかまMASAHITO版(「別冊コロコロコミック」)が実現し、連載された。何しろとにかく自分の力不足が悔しかった。

実績薄い自分がコンペ的な立場になると断然敵に不利だった。何かを実績として残せていない感じが悔しくて。

直後、持ち上がったのが日本版Disneyコミック企画。講談社じゃない会社でやるというのは当時としては異例に思うものだった。
小学館「小学一年生」昭和32年1月号付録ディズニー絵本ぴーたーぱん
< font size="1>(上掲:小学館「小学一年生」昭和32年1月号付録ディズニー絵本ぴいたあぱん。絵物語、まんがのハイブリッド状態。)
でも、実は昔は小学館もたくさんのディズニーの本を出していて、講談社独占時代しか知らない人には意外に思われるようだけど、これはある意味、昔の姿を取り戻すような、そんなイメージ。そのお手伝いを自分ができる可能性があった。

で、この時はオーディション原稿を描いた。そして、自分が残った。
このきっかけをくれたのが前出の『モジャ公』コミカライズ出来なかった愚痴を聞いてくれた編集者様。当時、既に自分はDisneyオタクで熱心な作品愛好&研究家だった。

小学館「小学二年生」1997年2月号
「小学二年生」に『ミッキーマウス』、「小学三年生」に『ドナルドダック』。研修を重ね、数ヶ月でDisney漫画家にしようという、無茶なスケジュール。でも苦しくも楽しかった。
最初は海外からアーティスト先生が来て小学館の会議室が教室だった。漢字書き取りのようなキャラクター練習。丸を書く練習、波線のペンタッチの練習、ディズニーキャラクターのエレメント学習。基礎から応用まで。
研修風景(1996)

そういえばミッキーとドナルドは個別のシリーズの漫画で、越境しないのがコミック世界のルールだった。
アーティストも別で、僕のミッキーの先生はドイツからだったし、ドナルドはデンマーク人でした。一人でどっちも描こう、しかもできるならお話も作りたいってのは海外のコミックアーティストにはない希望で、研修自体もやっぱり異例な訳。(ましてや後にピクサー作品も、って、さらにとち狂ってるオカシイ話。)

Shirow Shirai / at EGMONT - Denmark. (1996)
そして研修後半は海外へ自分が飛んで、缶詰め状態の学習会……なのだけど、既に雑誌のリリースのスケジュールと被ってて寝る間が無かった状態。
Shirow Shirai / at Germany. (10/6-1996)
Shirow Shirai / at EGMONT - Denmark. (10/7-1996)
描けるのが楽しい…けど、思うように描けない実力不足のジレンマ。"まんが"で海外まで行く喜び。いろいろな感情。ほんと色々ありました。

でも残念ながら連載は長く続かなかった。ヒジョーに残念。
…後年、PIXARの『ウォーリー』に繋がるとは思いもしなかったけれど。『ウォーリー』も小学館会議室が自主カンヅメ会場…。

実力不足のジレンマふたたび。前回よりマシの意味で満足感も得た。でも、翌年の某『UP』は企画頓挫…。学年誌、大幅に休刊。
→まんが道迷子継続中 ←イマココ

そもそものデビューのところで"藤子不二雄"う偉大な存在は、言わずもがななので、省略。…というか、切り出し方がどこから、どこまでか分からないほど影響下で生きてる。……現在も。

先日、小学館ビルにラクガキ大会で描いた絵についてツイッターで話す機会があって、多々誤解をされていると思って説明するに至った。

だいたいは上記からの個人的な小学館との想い出につきる。
すると、言われた。
「あのラクガキ類には長年小学館と付き合いのあった漫画家の方々と小学館の方々との間にあるものであって、それ以外の人間は遠目に留めておくべき何かを感じてしまったもので。」


実はまったくの正答で、そもそもは各作家さんが個人的の思い入れで描いたもの。小学館との仕事や子供時代の読者体験を描いた、とってもパーソナルで内々のもの。
当日の雰囲気では小学館ビルのラクガキがこれだけニュースで取り上げられ大事になってしまうのは予想外だった。

ガラスの前でミッキーという記号だけで、騒がれて、場違いさだけを取り沙汰されるのは、自分にとって居心地のまことに悪いことになってしまった。

だってさ、当日はアレ公開前提じゃなかったんだって。ほんと。

ま、こんなトコで言っても今更詮無い。

今日はあの絵が変に騒がれたせいで、まつわるノスタルジーに酔ったみたいだ(※ノンアルコール)。