サンタクロースっているんでしょうか? 子どもの質問にこたえて<改装版>2006年12月25日 17:47

サンタクロースっているんでしょうか? 子どもの質問にこたえて<改装版>/偕成社刊
110年前、新聞社に送られた8歳の少女の質問に丁寧に答えたサン新聞の社説の単行本です。当時、たいそう話題になったこの社説は、この季節になると再録される恒例のものになったそうです。

その実直でやさしい語り口はとても魅力的です。今年、久々に読み返して気がついたことは、昨年ベストセラーになった『生協の白石さん』に何か通じるものがあるという点です。質問の内容が故意に狙ったものであるか否かは大いに違うものの無理難題に真正面から挑み真面目に答える姿勢は両者とも和ませる空気を持っています。

小学三年生になる我が姪はそろそろサンタクロースを信じる年代ではなくなったようで、プレゼントは現金で徴収するドライさを見せているようです。
そんな親族の話題にすら何か寂しさを感じる時期に読み返し、以前は感じなかった熱い何かを自分の胸の中に感じることが出来ました。

今、サンタクロースがいるかと聞かれたら各家庭どんな答え方をしているのでしょう。110年も前にその質問を向けられ答えに窮した親が「新聞社に聞いてごらん。」と言ってしまったのもすごい話ですが、その質問に真面目にこたえたサン新聞社もすごいです。
この本の巻末には本文の後に顛末をまとめた解説文が掲載されています。バックグラウンドがなくても、これだけ時代が変わっても通じる文章は素晴らしいの一言に尽きますが背景を知ることによって、より味わい深くなります。

今現在の世の中で昔ながらのサンタクロースは生きづらいのかもしれません。
でも、この本にあるように誰も見たことがないという事が居ないという証明にはならない事は現在も変わっていないはずです。
目に見えないことで大切なことがたくさんあると言うこの本に大いに共感しつつ、大人になった今も自分なりのサンタ像を思い浮かべています。

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サンタクロースっているんでしょうか?