映画「河童のクゥと夏休み」~“超・原恵一”2007年08月01日 23:12

映画『河童のクゥウと夏休み』劇場前売り券
作品を鑑賞する前はポスターを見るにつけ、楽しみしていた映画ではあるけれどキャラクターデザインは何か図書館でかかる教育映画のように華のない泥臭い画風だなぁ、戦争アニメーションが似合いそうな画風だと思っていました。

アニメーションは作品を見てみなければ分からないと重々承知だったのですが動いてる画面で改めて納得しました。
描かれる世界の存在感の強さといったらなく、背景含む描写の細やかさが、本当にリアル。“そこで起こっている”と感じさせる重量感のあるものでした。その画風の華のなさも等身大で、身近さを感じさせるものとして機能しているなぁと改めて感心してしまったりしてます。

僕ら、昔からの藤子ファンにとって原恵一監督といえばTVシリーズ「ドラえもん」の数多い名演出が印象的で、以降TV、映画の「エスパー魔美」や「ドラミちゃん」「21エモン」など藤子作品での活躍がしっかりと刷り込まれてしまっています。そのせいで見るようになった映画「クレヨンしんちゃん」のお仕事。「クゥ」に期待を抱かずにいられるはずもありません。

自らを“最後の叙情派”とおっしゃる言葉通り、「クゥ」で見せる季節の移り変わり。湿気を含んだ空気の中に降る雨、夏の日差し、夕暮れの風、冷たい水、そして暑さのピークを過ぎ秋を感じる空気、……五感的な空気は、いつ見ても心地よく手腕の見事さに感じ入るばかりです。

まだ見ぬ人たちとの話題の中で、中身を説明せずに「クゥ」の素晴らしさをする段になり、困り出た言葉が「今までのが“原恵一”なら、今回のは“超・原恵一”なんですよ!」と言う説明。
今までの活躍を知らない人にはサッパリだが、オタク相手ならば伝わる、伝わる(苦笑)。

映画を観ながら、「尺がけっこうあるな」と感じたのも確かなのですが物語が収束していく瞬間、この幸せの時間が終わってしまうことがこんなにももったいないと感じるなんて、久しぶりだなぁとも思いました。クゥとスクリーン上で過ごす夏休みがどんなに輝いて、幸せか。

やっぱり、映画館で多くの人に観てもらいたいの一言です。

---<ネタバレ雑談>
前のエントリーの中で情報遮断を訴えかけた自分ですが、何を見せたくなかったのか、答えようと思います。 まず友人に聞いたのがTVCMで竜のシーンが流れていると聞き、そりゃぁ、見せちゃダメでしょと思ったのが発端で改めてサイトで予告を確認すると、ラスト近辺まで見せまくりじゃないですか。やっぱり、展開には驚いて欲しいです。

自分がチラシで目を通してしまったのはボイスキャストに有名人が並ぶ欄。有名人起用は嫌いなコンセプトなので知っても弊害なしと判断したのですが、キャラクター名に“キジムナー”の名前を発見。とっさに、「あぁ、他にも妖怪が出るんだ。キジムナーといえば沖縄だから、沖縄にも行くのかな。」と先を読んでしまったのが大失敗。遠野で座敷童が出て、次は沖縄でキジムナーか、と。
こんな先読みしちゃったから、ちょっと残念。と、ゆーか、ラスト近辺はキャラ名も伏せて欲しかったという数少ない観客の一人なのです。

コメント

_ マクノスケ ― 2007年08月02日 13:47

絵柄は「ディズニー」も「トレジャー・プラネット」辺りは、止め絵はイマイチなんだけど、動いているのを見ると、なかなか良くて「動くのを見てなんぼ」だなーと思ってました。
「クゥ」も動き出したら、可愛くて、泥臭いキャラデザなんか全然気にならなくなったんですが、作画の上手い下手の開きがかなりあって、もうちょっと統一されていたら完璧だったのになあと思うと残念です。
でも、この絵、手垢が付けられた展開、2時間ある尺、どれもがマイナスイメージの上、ポケモン、レミーに押されて、こちらではすでに1日に2回しか上映しておりません。(涙)もっともっとたくさんの親や子供たちにも見て欲しいんだけどなあー。

ネタバレ雑談も拝見しました。
「龍」で見ながら思った事を書くと…
実は宮崎作品を思い出しました。
「違う世界の者同士の共存は出来るのか?」(もののけ姫)
「誰かに名前を付けて貰う」(千と千尋)
…等、「龍」とか「自然」とかキーワード的にマッチするものが幾つかあって、同じキーワードを原監督が料理すると、こんなに素朴でかつピリッとアクセントが利いたアニメになるんだと感心しました。「龍」のシーンは圧巻でしたね。
またチラシのキャラクター名表記については、仕方ないと思いつつ、野暮だなーとも思いましたよ。確かに私も知っていれば、座敷童が出たら、最後のオチが読めてしまったかも!見てなくて良かった!その点でも師匠にお礼を言いたいです。
あ、そうそう!今日、サイトにあるクゥのデスクトップツールをDLしてデスクトップにクゥちゃんを表示させました。
クリックすると、キュウリ食べたりお辞儀して「ありがとうごぜーやした」とか(あの声で!)言ったりして可愛いったらありゃしないー!!(笑)

_ しらいしろう ― 2007年08月02日 23:01

「ポカホンタス」「ムーラン」「ヘラクレス」あたりも静止画イメージで損をしている作品群だと感じます。
アニメはやっぱり動いてナンボですよ。(個人的には。)

クゥに関しては妖怪なのだから、ある意味“土着的”なアプローチは王道なのかな、とも思い始めてます。

上映館の数、扱いはそれでも当初の予定に比べればずいぶん拡大されたようです。当初は都内でも数えるほどしかなかった上映館が、増えてます。
館内の状態を伝え聞くにまだまだ苦戦しているようですが、多くの人に見てもらいたいもんですね。

ネタバレへのレスへのレスですが(ややこしー)
ジブリの影は自分も感じました。
と、言うよりも王道でクオリティーの高い作品が日本だとジブリしかないからなのかとも思えました。
宮崎作品だと「トトロ」以降、一気に日本人としての立ち返りが作品に濃厚に流れ、ある時期からアジアン風味ともいえるオリエンタルな仕上がりになっちゃって、立脚が外からっぽくなっちゃいましたが……。

れれ、何が言いたいのか自分で分からなくなってきた。

脱線ですが、知り合いが家族構成や家のつくりが「クレヨンしんちゃん」と同じと言われ確かに!と思いました。
・父、母、少年、妹、犬
・郊外の家、自家用車

もっとも監督としては、以前から「河童」でやりたかったことを他で小出しにしていたようですが……。

HP、鑑賞が終わった人にとっては嬉しいですよね。
クゥのあの声も魅力的で、台詞が聞こえてくると和みます。録音も相当苦労があったようですが(笑)。

自分はまだ劇場へ行ってませんが、先着5万名だかのキュウリのQちゃんはなくなるのでしょうか(気にしてます。)

_ しんじゅろう ― 2007年08月04日 07:35

ネタバレ以下を読まないようにしている、かなり偉いしんじゅろうですー

妖怪好きでも(?)楽しめるという言葉を信じて、情報遮断中です。
・・・ああっま・・・まさか・・・柳田国男とか・・・熊楠とか・・・あーそんなものは関係ないはずだー;

うひー
まー馬、猿、河童、水神・・・龍は関係ありすぎるのですよー;ひぃ;
うん、それが判っていても絶対楽しめると、太鼓判ですから、観てないのに面白いのが解っているからこそこんな事が書けるのですよー
みにいこー

追伸
ぼくはクゥには似てないんだからねっ。

_ しらいしろう ― 2007年08月04日 18:43

>しんじゅろうさん
えらい!
そして、誰かにネタバレされる前に見なければ!
たぶん、柳田国男とか熊楠とかは関係なひと思ふ……。

追伸、“似てる”と思っても絶対言わないんだからね!

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_ soramove - 2007年08月07日 22:03

「河童のクゥと夏休み」★★★★オススメ
原恵一 監督、脚本



まだ名古屋駅の前にミッドランドスクエアもなく、
松竹座というせりだした二階席を持つ
試写会以外満席になったのを
見たことが無い映画館があった。

アニメの優先順位が低いので
自分がクレ...