映画『幸せはシャンソニア劇場から』~1回目の感想 ― 2009年10月17日 23:42
第二次大戦直前の1936年のパリ。郊外の下町を舞台にした、とある劇場の再建劇。
失業者が立ち上がって労働を得るために紛糾する姿は、時代劇としてではなく現在の世界情勢を反映させているよう。その意味でも、今を映した映画であると思う。
人にあるべき仕事、場所へ戻る行動の前向きさ。
そして幸せと呼べる瞬間は長続きしない。この手の“あたたかいヒューマン・ドラマ”売りの映画は、どうしても甘いノスタルジックな世界が包む印象がるあるけれど、本作は決して幸せいっぱいの世界を描いているとはいえない。むしろ展開される世界は不幸の連続。それでも、心に残るものは前向きなものであるのが心地いい。
その心地よさの大きな理由はラインハルト・ワーグナーの書いた音楽のよさによるところが大きい。そもそもこの映画の原案はミュージカルにしようと書いた数曲で、むしろ楽曲にあわせて脚本が出来上がったのだから当然なのかもしれない。
監督クリストフ・バラティエは前作『コーラス』でも音楽の力をうまく表現していた才人。映画との出会いはファーストショックを越えるのが難しいのですが、自分にとっては今回の映画が軽々と越えてしまいました。
政治的な背景など、劇中で描かれる要素で分からない事は多いですが 、その意味を汲み取りたくてリピーターになりたがっています。
(※既に2度目は観てきました。感想は近いうち。)
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