ドラえもん映画祭『ワンニャン時空伝』『恐竜2006』鑑賞2010年02月27日 23:26

ドラえもん映画祭/2月27日の状況
今週で4週目、当初の予定では最終週になる予定だった「ドラえもん映画祭」。以降はレイトショーの上映で、週末の土日に上映されるのは明日(28日)まで。

先週までの流れを見ていると座席争奪戦の流れが無くなっているのが見えたので今週はゆっくり鑑賞できそうと思いつつ、2コマが最新作の試写会で招待客のみになってしまうので、開始が午後から。試写会から流れる親子はそうそういないだろうけど、不確定要素が入って読みにくかったのも事実。猛ひとつの要素は、大山のぶ代さんが声を当てた最終映画としての『のび太のワンニャン時空伝』人気が、地味にあるのではないかと予想。(ちなみに最終回の追加回、『魔界大冒険』は朝に売り切れ。)

読みすぎでした。

自分が行った2時半の時点で『ワンニャン』は整理券番号45……。人気ないなぁ。
実際に何週にもかけて足を運んでみた感想は、見事に客の年齢層がズレていく状態で、前半こそ自分に近いトシの人も見かけたけど、後半は見事に若返っていく状態。お客さんにとっては自分の世代のドラえもんと再会するためのイベントだったようです。

『のび太のワンニャン時空伝』は映画25周年記念作品。
上映には当時のように『アニバーサリー25』なる短編アニメーションがくっついていたので、実質2本立て状態の嬉しいサプライズ。今回の映画祭は、当時のままのロールで繋がっていて嬉しいものばかり。
『アニバーサリー25』はミュージックフィルム的な作品で、映画ドラえもんの作品を音楽にあわせて振り返る作品。最初に白黒のトーキー初期のようなダンスをするドラえもんから一転、いろいろな世界へ駆け巡る。懐かしいキャラクターが画面に次から次へと現れるサービス満点のアニメーション。
長かった25年に感慨をもったのも、既に6年前……。

『ワンニャン時空伝』も、“たった6年前”のはずなのに、はるか昔に感じる自分。それだけリニューアルしてからの5年間が充実しているからなのか、ひとつの節目が、その流れを途切れさせてしまったからなのか。

製作開始当初、タイトルを聞いて期待できなかったのに、いざ完成した作品がすばらしかった記憶は、決して期待値に対するギャップではなく今見返しても『ワンニャン時空伝』は旧キャストの最後を飾るのにふさわしい名作でした。ゲストキャラ“ハチ”との交流も、とても安心して見られるし、現キャストと旧キャストのスネ夫が揃い、対応したキャラハイチで掛け合いが見られるのも興味深い一遍。
ラストで、しずかちゃんに作品のポジションを過不足なく語らせ“次世代へのバトンタッチ”を明言した、すばらしいフィナーレでした。映画公開当時は、まだキャスト交代の予定が報じられていませんでしたが、今こそ見返すべき一本のひとつであることは間違いありません。

気持ちよい気分になったところで、もう1本追加してしまったのがリニューアル後の第一作『のび太の恐竜2006』。旧作ともども大好きな作品で、リメイク版も旧作とはまったく別のものとして好いています。
開場してから購入したチケットは26番目……。こりゃまたガクンと……。
さすがに最近過ぎてノスタルジックな気持ちで見ることが出来ないのが原因かと思うのですが、場内では別の声も聞こえてきました。
「当時、“ハグしちゃお”バッシングで“ドラえもんのうた”じゃないドラえもんなんて、ドラじゃないって言われていたけど、私はこっち(ハグ)の世代なんだよね。」と、場内に流れる歌に耳を傾けながら、作品との再会を喜ぶ若い世代のお客さん。

ちょうどその頃のリアルタイムのお客さんがドラ離れの年齢に指しかかっている計算です。その意味で考えれば、お客さんが少ないのは当然のことなのかもしれません。(30年間、皆勤賞で映画館通ってる客なんて……あっ!いた!)

『のび太の恐竜2006』は公開時にかなり興奮していろいろブログでも書きましたが、今見てもつくりの細かさには感心させられる傑作です。特に“大人の世界”との対比は、いい! 前半のパパに対する「ちょっと。」と言って、事情を説明しないシーンに呼応するラスト、「ちょっとね。」は親の知らないところで成長する子供を見事に描いていてゾクゾクする瞬間です。
また保護者としての“大人”=パパ、ママに対して白亜紀で対決する黒マスクやドルマンスタインといった、決してかないそうもない力を持つ大人との対決は、子供映画としてのすばらしい構造をくみ上げていると思わされます。

いやー、観返してよかった。(散々、観てるけど。)

お客さんがいっぱい入ったことよりも、何度見返しても楽しめるドラ映画こそが真価だと思う今日この頃。そんな作品群が生み出される未来を待っています。