「善き人のソナタ」+短編 ― 2009年01月23日 23:59
前座的についていた作品は映像作品と言うよりは完全にNHK教育を見ている気分のドキュメンタリー。焼き物の世界の面白さと、それに魅入られた人物を活写。印象に残ったのは釜から出した直後、温度差で趣深いヒビの文様が入る様を見せた映像。ピキンピキンという音と共に、自然が作る表情の深さを感じさせます。
……しかし、長編が130分を越えるのに30分の作品が前座なのは、ちょっとしんどかった。
長編「善き人のソナタ」は1984年と言う、はっきり覚えている時代が舞台。なのに、壁の向こうではこんなことが行われていたのかとカルチャーショックを受ける内容でした。
社会主義国である東ドイツを舞台に反社会的なものを取り締まるために盗聴が行われ、主人公はその盗聴をする役人。対象者である芸術家の人柄や生活、音楽などの芸術の力によっていつしか共感し、いつしか芸術家を守ってしまう反乱行為を……。
表面上は国のためにと取り繕い、決して表情を崩さないのに、本心をにじませる演技はすばらしく、見ごたえたっぷりでした。
クライマックス付近は映像も見事。すりガラス越しに見えるギリギリの表現で主人公の手元に四角く見える影が、ものすごく痛快!
上映終了後、隣の席に座っていたOLが数文字で全てを表現する感想を述べていて、笑いをこらえるのに必死でした。
「あのオッサン、善い人だったね~。」
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