映画『マーリー /世界一おバカな犬が教えてくれたこと』 ― 2009年04月08日 18:43
邦題『マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと』が与える印象は、かつて我が家で飼っていた犬を思い出させるおバカぶりを連想させて、共感と興味をわかせるものでした。
反面、このタイトルの意図する部分には「泣けます」的セールスを感じて、引いてしまう部分も。伊集院的表現で言うなら「犬死ぬじゃんかよ、泣くに決まってるじゃん。」のジャンルに属しそうな映画。最近だと邦画『犬と私の10の約束』を観たがった姪っ子に、彼女の母(=自分の姉)が、まるきり同じ理由で断り、お父さんと観に行き、泣いたようです。
実際タイトルや予告編の伝える情報どおり、感動モノであることには間違いないと思うのですが、自分が嫌う感動の押し売り、“泣けるスイッチ・ポン”だけの映画ではなさそうに見えました。結果“観たい映画”リストの一員に。
本編開始からほどなくして、この映画の原作が事実であること、決して犬を中心とした物語ではないことに気づきます。原題が「Marley & Me」であったのも、とても安心しました。
物語は新聞記者の夫視点で進行します。幸せな結婚をし、子育ての心の準備のためもかねて、1匹の子犬を家族に迎えます。それがタイトルになっているマーリー。マーリーを迎えた後に順調に子宝に恵まれ、夫婦と3人の子供と1匹の家族になり、事件記者を希望していた主人公は成り行きでコラムニストとして成功し、家族やマーリーのことを題材に筆をふるい、時間と共に変化していく家庭の姿を描いてゆきます。
危ない事件記者として成功していく同僚は、やりがいはあるけれど危険な仕事を誘おうとしたときに子供が生まれることを知り「家族の居るやつは、この仕事向きじゃない。」と言うシーン以降、時折登場する家族を持つことによる“仕事”への関係性や、歳をとるにつれて思い通りにならない人生の幸せをどう受け止めていくか、その辺にとても共感が持てる作品でした。
もちろんその中に“犬が家族に居ること”の重要性や意味も描かれるのですが、それがすべてではない映画です。そこがとても気に入りました。
興味がわいたので、次は原作本に手を出してみるつもりです。
コメントをどうぞ
※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。
※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。
※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。