ヘフリジット・トランプラー・ブロムペット・ズオウ4世2005年07月14日 05:53

中篇として公開されていた頃のパンフレット。
現在とは表記が違い、「クマのプーさん」だった。▼
「クマのプーさん」パンフレット(1977)
なにやら呪文のような”ヘフリジット・トランプラー・ブロムペット・ズオウ4世”とはディズニーの最新キャラクターの本名だ。この手の呪文のような物は自分にとって残りやすくてグルグルと頭に回る。

くまのプーさん最新作、『くまのプーさん ザ・ムービー/はじめまして、ランピー!』に登場するズオウの子供は原作には登場しない、アニメオリジナルのキャラクター。

”ズオウ”とは”ゾウ”の事。
『くまのプーさん』の世界の住人はみんなつづりを間違えて覚えている間の抜けたかわいらしさを持っている。プーさんはハチミツのことを”はちみち”(HUNNY)と間違えていたり、手紙に書かれた文字が分からずフクロウに聞きに行くが、知ったかぶりのフクロウも頼りにならないといったチャーミングさ。

”ズオウ”……原作では”ゾゾ”に相当する部分だと思われる。原作ではゾゾにおびえながらも捕まえてやろうとピグレットとプーは探検家の気分で森を進む…。”幽霊の正体見たり、枯れ尾花”的オチはかわいらしい。
ところがアニメでは実像…いやさ、”実ズオウ”を現してしまうのだ。
この作品の第一印象はディズニーベアに似た、商魂的嫌悪感だった。いないからこそ面白いズオウを描いてしまうなんて洒落が分かっていないという気もするし、かわいさを前面に押し出し、商品展開も抜かりないと知ってしまうと食べる前にゲップが出た。

しかし、見てみればそこまでの拒絶も大人気ないと思える正統派キッズ・ムービーだった。生まれてしまったキャラクターに罪はないとでも言うべきか。
”幽霊の正体見たり、枯れ尾花”を、テーマとして膨らませて、未知のものだからこそ恐怖を感じ、実際に会う異邦人は自分たちとどこか共通するところがあるとしたのは今日的なテーマに感じた。人種や宗教の壁の向こうにいる人も、やっぱりどこか共通していると思いたい。
さて、この作品、昨年閉鎖された東京にあったディズニー・アニメーション・スタジオが参加していたようでクレジットに多くの日本人の名前を見ることが出来る。
日本のスタジオが主軸で作った『ティガー・ムービー』を思い出す部分もあるが、以前と違うライトな画面のつくり、キレの足りなさを感じるのも正直なところ。

ホーム・オン・ザ・レンジ』同様にスケージュールや制作費に制約があったのかと邪推し、甘い点をあげたいのはハンドドローイング・アニメファンとしての贔屓目かもしれない。

面倒なことはキッズ・ムービーには野暮。
カワイイ、優しい気分になれる、その意味において満足を与えてくれる作品だ。

日本版のソフト発売も間近、しばらくはランピーの本名が頭の中を繰り返しまわることになりそうだ。
そして最初は歓迎していなかったランピーを認め始めている自分を発見するのでした。

[※2011/07/06旧ブログから引越]

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