週刊マイ・ディズニーランド80号目2009年04月20日 22:24

週刊マイ・ディズニーランド80号 表紙とジオラマアイテム
最初は遠いと思っていた全100号のリリースだけど、もう80号。真ん中を越えたら、体感時間がすごく加速しました。もう20週しか残りがないなんて信じられない!

■ジオラマアイテム  
・プーさんの冒険(ベース、山)

■本誌記事
・アナハイム探訪「ビリー・ヒル&ザ・ヒルビリーズ」  
・キャラクター図鑑「ミーン・マンPART.1」
・ディズニー・ワークス「わんわん物語Ⅱ」

アナハイム探訪はアトラクションや店などのロケーションではなく、ショー(と言うか、バンド)にスポットを当てる新機軸。
塗りつぶしているわけではないけれど、もうめぼしいところは紹介し終わってしまったのでしょうか。後半に来て無理を感じるセレクトが出てきたような……。場所自体は“ゴールデン・ホースシュー”で行われているの一文で納得なのだけど、これまでの場所で仕切られていたルールと違うので、意味を理解するまでに時間がかかりました。あとは、画像の変化のなさがツライ。延々舞台上の男4人の演奏姿を写す2ページ。ハズレのないページだっただけに今回先の不安を感じました。

キャラクター図鑑は悪役4人をピックアップした濃縮4倍仕立て。ガストン「美女と野獣」、オネスト・ジョン「ピノキオ」、ラトクリフ総監「ポカホンタス」、セシル・クレイトン「ターザン」。
正直、ずーっとこのスタイルでも良かったんじゃないでしょうか。1ページにプロファイルデータ、キャラ紹介、作中の関係性を入れてテンポを感じるページ構成。これまでストーリーを繰り返したり無駄を感じる部分がすっ飛ばされているので気持ちいいです。深いデータを期待する冊子ではないので、これくらくライトなノリでキャラクターの数をこなして来たほうが良かったんじゃないかなぁ。(80号になって言われても、しょうがない話だけど。)そもそも100冊しかない冊子でほぼ1回一人、(ミッキーやドナルドなどは2回も取り上げ)トータル100前後では数もビミョー。それならば読み物に徹して欲しかったのに、読めばビミョー。
今更数でせめても状況は変わらないと思うのですが、眺めるなら今回のような構成のほうが楽しめます。(ヴィランズが好きという部分はおいといても)
5月発売のディアゴスティーニの『ディズニー・ドリーム・ファイル』に期待すべき内容かもしれないけれど、そっちはそっちで不安要素なんだよなぁ。

ディアゴスティーニ「ディズニー・ドリームファイル」公式HP:http://www.de-club.net/ddf/

ディズニーワークスは「わんわん物語Ⅱ」。リップシンクロの作画法などは別にこの作品に限ったことじゃないし、フランク・トーマスの専売特許だとも思わないのですが、なぜにそこを押す文章なのかが謎。全体的に前作の話やウォルトの名言を引用してごまかしていますが「Ⅱ」についての記述はかなり少なそう。

それだったら、(本来キャラクター図鑑でやるべき内容だと思うのですが、)スキャンプのキャラクター成り立ちを伝えるなど、やるべきことはあるはず。どうせ全100冊ではこの作品も取り扱いも今回で終了なのでしょうし。
1作目の終盤に出てくるだけのキャラクターだったスキャンプ……(うろ覚えだけど、当初は名前すらなかったはず。)それが1957年、絵本ゴールデンブックス「SCAMP」でスピンオフ作品が誕生。名前がついて主人公になって、コミックでも活躍。40数年を経て、初めてアニメで主役を勤めた「わんわん物語Ⅱ」。この時間のかかった出世はファンには感慨深いものがあったはず。(作品の出来は別として。)

なんだか、成り立ちの分からないまま作品を見て解説されているように感じるのは、自分が意地悪だから? 記事としては、いつもどおりの出来なのでしょうけど、「わんわん物語」が好きなだけに残念な内容でした。

この編集方針だと「ダック・テイルズ」もカール・バークス抜きで解説しそうで怖いョ。

さてジオラマ・アイテム。
今回は前々号(78号)の角地と77号のベースにはさまれた部分。アトラクション「プーさんの冒険」を再現したアイテム。
ジオラマの左奥で鉄道が入り込む山の中にあります。

アイテムでは内部再現のために山をカバーとして別成型し、ホゾで合わせて組上げるようになっています。
プーさんの冒険<ホゾあわせ>
手前は次号に鉄道レールが通るトンネルと山をかぶせるように配置されています。
プーさんの冒険
正直言って、今回の上下分割は必要ないような……。(マッターホーンボブスレーの後ろ側カバーと同じ、意味のないパーツだよなぁ。)
ナンバリング記入
ちなみに上で見えてしまっている書き込みは自分でしているナンバリング。毎週組み立てて、撮影してしまって、将来的にまた組み立てる手間を考えると組み立て説明図のある号数を書いておくほうが混乱しないと思ってやっている手入れです。

パーツの底面とブリスター裏に号数とアトラクション名を書き込んでます。一括でくみ上げる人には不要の手間ですが、自分には必要な手間です。

今回のパーツは周りのパーツを並べて撮影しないと雰囲気が出ないと思うのですが、近いうちに組み立てることを思うと「今じゃなくてもいいや」と先送り。

明日発売81号はプーさんの冒険(トンネル&ライド)。

映画『魔法にかけられて』~オタクにはめられて2008年04月05日 06:02

魔法にかけられて / 劇場前売り券
(以前のエントリーからこぼれた細かいネタ覚書エントリーです。)

おとぎの国のお姫様が現実世界に落ちてきてカルチャーギャップで笑わすと言う設定を見ただけでも充分に楽しめる『魔法にかけられて』ですが、ディズニーファンならば思わずにやりとしてしまうシーンの連続。ライトな作風なのだとばかり思っていたら、自分の認識が甘かった。

最初に「オヤ?」と思ったのが、ジゼル姫がNYに来て、路上のサングラス売りの台をひっくり返した瞬間。これって、『オリバー ニューヨーク子猫ものがたり』の冒頭シークエンスで歌われる「ホワイ・アイ・シュド・ウォーリー」の中でドジャーがやったシーンのパロディー? いくらなんでもマニアックすぎると思い、一度はスルーを決め込んだのですが出てくる出てくるマニアックなこだわりのオンパレード。先のシーンも偶然の一致ではなく仕組まれたワンシーンだと確信できました。

<あ! 基本的にネタバレエントリーなので未鑑賞の人は読まないでください。>

思えば、しょぱなからヤラれてました。
ピクサーが製作した新ディズニー社ロゴもやっと見慣れてきたと言う時期にあれです。ロゴの中の城にカメラが移動し始まるファーストショット。ロゴ画面が切れるのを待っていた自分は意外なカメラワークにむせてしまいました。なんたる意外性。パラマウント社のロゴの向こう側に入って始まる映画(タイトル失念)も思い出しますが、“お城”と言うキーワードが既にマッチングしていてたまりません。

以下、その城の一室に置かれた本で始まるプロローグは『白雪姫』『ピノキオ』等々、初期ディズニーで定番だったスタイル。

冒頭アニメは『白雪姫』『眠れる森の美女』などを基本とした森を舞台に王子と愛を誓うイマジネーションでしょうか。
トロルと王子が姫へ向かって競うシークエンスはドリームワークスの「シュレック」を連想させられました。(※シュレックはオーガ。)この辺、意識的なのか判断に迷いますが、後半を考えると意識的な気もします。

”願いのかなう井戸”は「白雪姫」のそれ。

NYへ到着すると場所はブロードウェー。ディズニーのミュージカル公演のある地としても意味合いのある場所ですが、前述「オリバー」の舞台でもある場所。なぜマイナー作品「オリバー」がフィーチャーされるのか疑問に思われるかもしれませんが監督ケビン・リマのディズニー初参加作と言えば納得してもらえるでしょうか。

TVスタジオ製作の『グーフィームービー』で監督デビューを果たした後、フューチャーアニメーションで『ターザン』を監督、そして実写作品『102』と作るたびにフィールドが変わるケビン・リマ。そんな彼がアニメも実写も使った作品で撮るというのは、何か一周終わって、2周目に入ったような感慨を覚えます。その意味「オリバー」は至極納得の一里塚。

振り返ればケビン・リマが入社した頃のディズニーは新体制が整った節目の時代でした。実写作品に目を移せばタッチ・ストーンレーベルの第一作『スプッラシュ』、これも舞台はNYでした。

そして、おそらくこれは自分の勝手な思い入れ。アラン・メンケンの町という視点(苦笑)。第一回『ディズニー映画祭』に出席したアランメンケンは司会だった田中美和子さんに「“マンハッタンのナイスガイ”アラン・メンケン!」とコールされました。自分にはメンケンの風貌とのギャップに妙にウケてしまって、以来メンケンの枕詞と言えば“マンハッタンのナイスガイ”だと思ってます。(脱線)

えーっと、何の話でしたっけ。
そもそも映画を見てから何週間もたってるんだから細かいネタなんて忘れ始めている訳で……。

以下、過剰書きに近いメモで消化しましょう。キリがない。

ジゼルいわく糸車で作ったドレスの糸って、『眠れる森の美女』?

魔法の鏡=TVに映る「こぐま物語」の実写部分ほか、何かディズニーアニメが混じっていたような……。

エドワードとジゼルの行くイタリアンレストランが『わんわん物語』のトニーのレストランのパロディらしく、悪役の変装もご丁寧にトニー風。

『サウンド・オブ・ミュージック』→転じて『美女と野獣』のミュージカルシーンのカメラワーク、舞踏会のシャンデリアのアップは同じく『美女と野獣』のボールルームのシークエンスのパロディ・アングル。

サントラでも『美女と野獣』のメロディが少し出てきますが、弁護士事務所のロビーでは『リトルマーメイド』のメロディと、アリエルの声を担当したジョディ・ベンソンが秘書として登場。水槽の中を覗くジゼルも輪をかけて“人魚姫”を思わせるシークエンスでした。

そういえば、どのシーンか失念したけど「あ~ひょほほ」のピント・コルビィグ絶叫のパロディもありましたっけ。かなりライトな絶叫で、不自然にならないようになっていました。

エンド・ロールは影絵のような処理で数々の昔話を見せる趣向で、ディズニーアニメにもなった『王様の剣』ほか、本編でフォローされていなかった作品も登場。

でも、そのトップバッター(※訂正アリ)は魔法にかけられカエルの姿になった王子様。これはハンドドローイングアニメーション復帰一作目『ザ・フロッグ・プリンセス』への布石! 魔法にかけられた主人公というつながりだけでなく、さらりと未来への希望も感じ取れて嬉しいエンドクレジットでした。

週刊マイ・ディズニーランド26冊目2008年03月26日 23:10

イテテ、凶器と化した雑誌(^^;
今週も発売日に本屋へ来てサービスカウンターで名前と誌名を告げて本を出してもらいました。取り寄せられた本に付いている伝票には自分の氏名だけでなく、これまでの号数の発売日と引き取り日が手書きで記入されています。よくもまぁ、毎週、発売日に本屋へ来てるなぁと驚きました。加えてブログの感想エントリーも多少ダラけてはいるものの習慣化。

そして購入した本誌を同僚の前で開封し、ボヤくのも習慣化しています。今週はアクシデント! シュリンクの端を破って、人差し指をスキマに入れて開封しようとしたら

つッ!
中に5枚重なって入っていた緩衝材のダンボールは決して鋭利な紙じゃないのに、指をザックリ切りました。鋭利なのも痛いけど、ナマクラなダンボールは輪をかけて痛いっ! 
パッケージには外箱がヘコんでも取り替えないという注意書きはあるけど、開封時に手を切る心配はしてくれないのね。(別に、過剰なPL法表示はいらないけどサ)
そんな訳で、数日は絵仕事もタイピングも不便だなぁ。

さて今週のお献立。

■ジオラマアイテム
・マッド・ティーパーティー
・おとぎの国のカナルボート
・ケーシージュニア・サーカストレイン(駅)

■本誌記事
・アナハイム探訪「ディズニーランド鉄道」
・キャラクター図鑑「サリー&マイク」
・ディズニー・ワークス「わんわん物語」

文字で見る分にはすごく盛りだくさんに見えたジオラマアイテムですが、ある意味予想通りの小型パッケージ。
26号ジオラマアイテム
豆みたいなパーツがいっぱい入ってるのだから数で勝負と言いたいところですが、ティーカップは色換え、おとぎの国のカナルボートも色換えと気がつくと実質、新規造形パーツは3種。
今まで、細い部品に金属を使ったり、素材にはこだわりを感じる商品。今回のマッドパーティーの台部分はいったい……。
かっ、紙!? ∑(@。-;)
……紙…でしたか……(ガクリ)。
ダンボと違って凹みモールドがあった分、回転させられる処理がなされると期待していた自分にとって、回転はしない&紙製はダブル・ショック。ダンボとティーカップを回転させることのできる改造用素材、探そうかな。

今週のジオラマアイテムは……これで1490円と思うと切ないなぁ。丸い紙と粒……。
ちっちぇえし…
一番アイテムらしいサーカストレインの駅も、今週の主役とは言いがたい存在感だし。

全体のローンで均して考えるべきだとは思うけど、小スパンで区切り、この一月で均して考えても割高感はやっぱり消えない。トホホ。

さて、先週褒めた本誌は……。やっぱ問題点アリ。楽観はできないッス。確かに全体的に文字数が増えたし、情報のバランスもできてきたけど突貫工事っぽい粗は消えていない。

今号は満足レベルの記事は「アナハイム探訪」、及第点「キャラクター図鑑」、問題ありの「ディズニーワークス」。

「ディズニーワークス/わんわん物語」は、おそらく先ごろ発売されたDVDのメイキング映像か、それに準じたプレスリリースを基本に引き写した内容でしょう。そこは非難しませんが、この作品の製作スタッフでもないドン・ハーンの言葉を引き“ウォルトが人生を見つめなおした作品”と価値を見出すのは微妙です。いい言葉なので、引くのはいいですがドン・ハーンを“ディズニー・スタジオのプロデューサー”としか紹介しないのは配慮がなさすぎ。知識が無い人が読んだら、この作品のスタッフと読み違えるでしょう。ドン・ハーンは「わんわん物語」映画公開の1955年に生まれた人(「美女と野獣」など90年代活躍プロデューサー)なんだから、リアルタイムのことを語るにも微妙なポジションなのに。

あと、同ページ“Behaind the Seenes(ビハインド・ザ・シーン)~犬の視点で描いても共感を得る理由”。良くわかんないんですけど、自分の頭が悪いのかな。
(前略)レディの耳を髪の毛のように風になびかせたり、目覚めにあくびをしながら背伸びをするトランプの様子を描いたりなど、人間の振る舞いもさりげなく付け加えています。(後略)

ンァ? 犬だって長毛種、耳の長い種類は風に毛や耳を揺らすし、あくびしながら背伸びもします。ごめんなさい、ライターさんの言いたいことカケラも理解できません。“擬人化”ってどういうこと言うか知ってるのかな。
犬でありながら人間らしいパーソナリティを伝えている“芝居”のさせ方を言うなら、ちょっとズレてる場所を指摘していると思われ。

あと、犬キャラクター大集合の画像についたキャプション、間違ってます。
新たに家族が増えたレディとトランプ。もちろん、たくさんの仲間もずーっと一緒です

いわゆるスチール用イラストで本編に無い画像に苦肉で書いたのかもしれませんが、この映画の中では保健所に収容された犬たちの運命は不明。“ずーっと一緒”は超・的外れ。

あと、今更だけど、キャプションの文章はブロック末尾には“。(句点)”ないのね。途中には句点が入るのに、最後だけ無いのが、なんとも奇妙。誰だ、こんなフォーマット組んだの。

前言(先週の発言)撤回。やっぱ、この本ダメだ。進歩はしてるけど、やっぱり妙。

さて来週は「グラウンドベース(おとぎの国)」。やっとケーシー・ジュニアを線路に乗せられるのと、カナルボートを飲み込むモンストロが手に入る。平坦なグラウンドベースはつまらなかったけど、起伏やディテールの込んだグラウンドベースは割りとイケそう。

映画『魔法にかけられて』~ビッグ・アップルをかじったプリンセス2008年03月21日 01:27

魔法にかけられて / 劇場販売パンフレット
ディズニー最新作のお姫様はアニメの世界から現実世界に落とされる!? そんな設定を聞いて期待が膨らまないはずがありません。

何よりも短時間とは言え、途絶えているさなかのハンド・ドローイング・アニメーションが堪能できる。嬉しいじゃないですか。
しかも、音楽は90年代ディズニーの屋台骨とも言えるアラン・メンケンの久々の本格ミュージカル! もう映画公開を待てずにリリース直後のサントラに耳を通して、その音楽の完成度は予想以上。90年代のディズニーにあれだけ熱狂できたのは、ただディズニーが好きだったのではなくメンケンも同等かそれ以上に好きだったのだと再認識させられました。『ホーム・オン・ザレンジ』の時にも散々、過剰な思い入れを吐き出した記憶もありますが、自分でも意外なほどメンケンに惚れ直しました。ブロードウェー版『リトルマーメイド』も含め、活動が復活して嬉しい! 誰だ、ミュージカル・アニメなんて古いとヌカしたアニメ制作会社は! (あっ!)いやいや、体制が変わって、本当に良かった。

ずいぶん間が空いた気がするけれど、実写とアニメ世界の融合は『ロジャー・ラビット』以来。この路線はディズニーブランドとしては、一番古くから流れている血。『アリスコメディー』を発端と思えば、一番長いと言ってもいい。以下、自分のカテゴライズでは『南部の唄』『メリーポピンズ』(以下、ウォルト死後だけど)『ベットかざりとほうき』『ピートとドラゴン』などが並んでいく。『ロジャー・ラビット』がギャグ・カートゥーンと現実世界をつなぐ作品だったことを振り返れば、長編アニメーション『白雪姫』を始めとする“プリンセスもの”とつなぐのに、こんなに時間が必要だったんだね、と思う。

そんな期待を持ちつつも、期待値としては“ハズしていない”だろうくらいの予測。よもや、こんな傑作が生まれるなんて思いもしてなかったのが正直な感想。してやられました。

ディズニーファンとしての驚きの連続、ネタの濃密さもさることながら、この脚本、構成の見事さ。

<※以下ネタバレです>

理想の白馬の王子に出会い、出会ったその日に恋に落ち苦難を乗り越えながらも最後は結婚し、ハッピーエンド。ナイン・オールドメン時代のプリンセスの定番を踏襲した序盤のジゼル姫。そのパロディの数々に爆笑しつつ、本題のNYへの落下。

夢と魔法の国アンダルージアから、夢も魔法も無い現実世界のNYへの場面転換。このNYと言う舞台設定がニクイ。何も、クライムシティとしてや、アニメとの対比で過酷な現実を見せるための舞台というだけじゃない。まずは駄洒落。そのセンス! NYの別名と言えば?


そう、「ビッグ・アップル」! 
ディズニーファンなら『ヘラクレス(1997)』でギリシャの町を“ビッグ・オリーブ”と呼ぶパロディがあったので、予備知識は万全。“リンゴの町に落ちたお姫様”、ココに気づくと面白さは段違い。

この映画、気づいただけでも3回リンゴにやられてます。
2つめは”禁断の果実”。ディズニーアニメ……と言うよりも、ファミリーピクチャーとしてはタブーとも言える肉欲にも目覚めるプリンセス。
怒りと言う感情のなかった彼女は、やがて初めて覚える“怒り”と言う感情に戸惑いながらも、新しい感情の発見に喜び、受け入れる訳ですが、同じように弁護士エドワードのバスローブ姿にじかに触れ、自分の中に沸く初めての感情に戸惑いながらも、あわやキスをしてしまいそうに。大人ならではの感情表現はファミリーピクチャーの立ち居地として、かなり賛否が分かれそうです。サラリと肉欲を通過した『わんわん物語』のイタリアンレストランのパロディ“ベラ・ノッテ”でデートした女性ならば、さもありなん。ようは露骨さの差です。

物語のうわべだけをなぞると、今回のシノプシスはかなり背徳的です。
婚前交渉はお互いに無かったことを強調しつつも、お互い婚約者がいるのに、一方は5年間の交際機関を、片方は一日とはいえ婚約を破棄。2、3日の関係を持って新しい出会いを尊重して結婚。当事者だったら泣いても泣ききれない、コメディ映画の設定だと言われても納得しがたいものでしょう。
でも、物語中盤から先の見える複線の数々が張り巡らされています。おとぎの世界流の愛の伝達としてハート型の花の輪を鳩に運ばれる、非現実的なアプローチに「ロマンチックで素敵」喜ぶナンシー(エドワードの5年来の交際相手)。もう、既に内面はおとぎ話のやり方でOKと言うキャラクターに描かれています。

ジゼルも決して“白雪姫”的な保守的な面のみを受け継ぐキャラクターではありません。戦後の強い女性像を持つ”シンデレラ”“オーロラ姫”、そして90年代ディズニーの“アリエル”や“ベル”などなど。ベルはそれまでの外見だけでの恋愛ではなく、内面を愛することを説いた、新境地のプリンセスですが、今回のジゼルもテーマ的に言えばこちらの系譜のお姫様へと成長するキャラクターです。逆説的に言えば、だから前半では外見とフィーリングだけで永遠の愛を信じる展開なワケですが……。

最後のリンゴは目にも見える”魔法のリンゴ”ですが、そのリンゴの呪いを解くのに必要な愛が、どんな形だったかは映画を見ての通り。
ナンシーが強固にエドワードを束縛するのではなく、そっと背中を押すようにエドワードとジゼルの気持ちを確かめようとするのも、もうひとつの愛のカタチです。その強さが彼女にあることが、救いでもありました。

時に東京ディズニーランドを形容する表現で、ゲートをくぐったとたんに現実世界とは隔絶された夢の世界に入れるのが素敵と言われます。まったくもって的を得た表現だと思うと同時に、この映画が見せる夢や魔法は、そんな隔絶された“向こうにあるもの”とはしていません。現実を見つめたまま夢を持つこともできるし、幻想だけの恋人を愛するのではなく、ありのままの現実の姿を愛することが大切だと説いているように見えます。なんとも素敵な結末ではないですか。

では、意外にもロマンチストだったナンシーはアニメの世界に引きこもった二次元オタクなのかと言う、うがった意見も出そうです。現実逃避? ……いやいや、彼女にとってはアチラが現実。それに、現実世界に来てそれなりの苦難も待ち受けるジゼルに対して“ハッピリー・エバー・アフター(いつまでも幸せに暮らしましたとさ)”と言い切り、裏返しの世界にも言っています。どちらの選択も否定していない結末は、能天気な結論ではなく多様性の肯定だと思えます。

テーマパークや劇場を出たら魔法が消える、そんな儚い夢ではなく、現実にこそある魔法を信じられる『魔法にかけられて』はディズニー映画史上でも、とびきりのハッピーエンディングだと言えるでしょう。

近日エントリー、小ネタ編へ続く

ソフビ貯金箱/レディ「わんわん物語」 by三菱銀行(1969)2008年02月21日 07:16

BANK / Lady and the Tramp  / by MITSUBISHI BANK (1969)
昔は何処の銀行にもマスコットキャラクターや使用キャラクターがいてソフビ製の貯金箱がノベルティーで製作され配られ、コレクター人口もあったように思うジャンルでした。
しかし銀行の合併があちこちでおこり、それどころではなくなったような現状、いつの間にかコレクターの人口まで減ってしまったかの印象を受けます。いつの間にか、銀行貯金箱が並んでいると若い人の趣味ではないと感じるようになってしまいました。

三菱銀行ディズニー貯金箱/レディ「わんわん物語」(1969)
そんなわけでオジさんぽいと自虐的な気分になりながら、美女(美犬)レディの貯金箱を購入しました。高嶺の花だった最高時からすれば半額以下で店頭に並ぶようになった三菱銀行のノベルティ貯金箱。自分にしてみれば、「こんなに安くなっちゃったの!?」という驚きです。

「わんわん物語」のレディは1969年登場のノベルティ。監察のプレートに三菱マークが入っているあたり、ノベルティ特有のムードを感じさせます。色合い、ディフォルメの丸みといい懐かしく心地よいフォルム、色合い。 残念ながらレディのみのリリースなのでのら公(トランプの日本語旧名)と並べることは出来ませんが、お嬢様一人でも存在たっぷりです。
三菱銀行ディズニー貯金箱/レディ「わんわん物語」(1969)

[2011/6/17写真追加]

わんわん物語スパゲッティぬいぐるみ(2000)SEGA2008年02月05日 16:27

Plush / Lady and Tramp (2000) / by SEGA JAPAN
ゆわゆるUFOキャッチャーの景品用ぬいぐるみです。2000年リリース、座高20cm弱。

これ以前にもコレクションぬいぐるみはあったのですが、このぬいぐるみが素晴らしいのはギミック。二人を引き離して地面に置くとゼンマイで引き寄せられくっつきます。 映画の名シーン“スパゲッティでキス”しちゃうシーンをイメージ再現。これは名アイテム!景品用ぬいぐるみって軽視されがちですが、見過ごすことが出来ないアイテム。個人的に三ツ星です。

PVC set / ディズニー・キャット&ドッグス Disney Cat & Dogs / by Applause2008年01月28日 00:32

PVC figurine playset / Disney Cats & Dogs / by Applause
RUSSに吸収前のapllause(アプローズ)社の末期商品で、ディズニー作品に登場する犬と猫キャラクターを集めたフィギュリン・プレイセットです。6キャラクターと付属アイテム4点(ドッグフード、骨、ミルク、毛糸玉)をパッケージングして定価9.99ドル。拍手(アプローズ)マークが今となっては眩しく感じます。
発売時期は2000~2004年頃の記憶。本体刻印はいずれも(C)Disney China (R)Applause
PVC / Domino and Little Dipper / by applause
セット内容の顔ぶれには時代性も出ていると思うのですが、このダルメシアンは『101わんちゃん大行進』ではなく、実写版『101』のキャラクター、ディップスティックとドミノ。両者ともアニメの時には居なかったネーミングと模様のキャラクター。ディップスティックは尻尾をペンキに浸けてしまったようなブチ、ドミノはドミノのようなブチが耳についています。
なんで実写版からなんだ、と疑問は残るのですが、まだリアルタイムの熱気が残っていたからセレクトされたのでしょう。それにしても、なぜこの二匹なのかは、相変わらず謎ですが……。
PVC / Lady and Tramp / by applause
こちらは至極納得の『わんわん物語』からレディとトランプ。商品化自体は珍しくありませんが、アプローズ社からのリリースは珍しくテイストも独自の路線を行ってるように見えます。丸っこくアレンジされることが多いキャラクターなので、絵のデザインを生かしたシャープさとPVC的な丸みを加味したバランスが心地よいです。
PVC / Figaro / by applause
「キャット・アンド・ドッグス」と銘打ちながら、バランス的にはやや劣勢の猫キャラクター2点。
黒ネコは『ピノキオ』のフィガロ。公開当時の人気から独立短編も製作された、出世キャラクター。ミニーマウスとの共演も印象的。
PVC / Marie / by applause
白ネコは『おしゃれキャット』のマリー。作品内では完全な脇役ながら、近年は主役を差し置いて彼女ばかりフィーチャーされている人気者。この商品発売当時はまだ今ほどの活気はなかったように思いますが、アメリカの商品でもこうして単体のフィーチャーがあったのだと再確認できると、この潮流は決して日本独自のものではなかったのだと分かります。

マリーの造形は既成の流用に見えますが、その話は別の機会に。