映画「パラノーマン ブライスホローの謎」を観てきた、魅入った! 恐れ入った! ― 2013年04月07日 23:42
前評判がやたらめったら良いのと、公開が始まったとたんに聴く「公開関数が減りそう」「回数が減りそう」とみるのが今後、どんどん難しくなりそうだったのであわてて観に行くことにしました。
ストーリーはホラー・パロディな楽しが詰まったコメディチックな世界と謎解きの展開。死霊が見えてしまう主人公パラノーマンがまきまれてしまう町に隠された重大な秘密とは……。
主人公の見ているTVや部屋にころがる玩具のカワイクも悪趣味な品の数々。それを見ているだけでも、いわゆる“バッド・テイスト”を笑い飛ばせる人は楽しいのだけど、そんなディテールを外しても引き込まれる細やかなキャラクターの心情描写。
怒涛のラストは!!!!
「パラノーマン」素晴らしかった…。 アカデミー賞長編アニメ部門、なめてんのか!(怒)2012はこれだろ!(怒)と言いたくなる色彩デザインの素晴らしさ、ムード、テーマ性。
「パラノーマン」前半はディテールこそ面白いものの、なかなか事件が始まらないもたつく印象なんだけど、日常描写が丹念で、見終わってから「あっ! あそこはこういう意味があったのか!」と気づかされる。きっとリピートしたらたまらない気がする。
余韻を味わうに、前半の感じは、現代が数百年前と同じ暗雲に進みかねない、不安定さをはらんだ日常だからかと。いとしい日常でもあるけど、不安もある。少年期の期待と不安の紙一重な感じで、出口がどこかわからない感触もある。難しいバランスで出来てるシークエンス。
冒険の始まりからは、一気にテンションあがる。お気に入り。ゾンビも愛しく思える。
直球でドカーンとくる映画じゃなくて、ジワジワ沁みてくるような映画だな……。いく度となく人形アニメであることを忘れさせる美術、色彩が良い。キャラクターも時々CGのような(たぶん失礼な)感覚に陥った。表現力、すごい。いわゆる人形アニメ(ストップモーション・アニメと宣材では言われている)という表現力を軽々と越えてしまった。ライカの前作「コララインとボタンの魔女」も独特な魅力の詰まった、とても個性的な傑作だけど、同社はまたもすごい領域に入ってきたと恐れ入る。
むかしCGアニメの過渡期に「どんどん人形ない目みたいになるなー」ということが幾度となくあったけれど、ライカの流れはモデリングに3Dプリンターを用いて、コンピュータで複製した表情モデリングを人形にはめかえてアニメートするという逆転発想で、何とも不思議でなめらかな感情表現を獲得している。
ゆえに進化するとCGっぽい印象も覚えるのだけど、“そこにある”存在感はホンモノ。またライティングやセットの作りこみも桁違い。まるで実兄のごとく……といいたい美術部分にマッチングするキャラクターたちの独特のディフォルメ感。面白いでしょ、この映像。
「パラノーマン」最高!
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