映画「アンヴィル!~夢を諦めきれない男たち~」 夢の重さよ2010年02月26日 22:25

映画「アンヴィル!~夢を諦めきれない男たち~」スタンディー
80年代には一度脚光を浴びることも会ったけれど、その後はブレイクすることなく伝説化してしまったロックグループ「アンヴィル」。バンド活動では食べることが出来ず、仕事をしながらも活動を続ける彼らを追うドキュメンタリー。50歳になり、ワールドツアーに出かけた先で待ち受けているものは……。

都内で封切られた時にもひっかかっていたのですが、見逃していました。先週から早稲田松竹でロック映画二本立てで「パイレーツ・ロック」と上映になっていたので「アンヴィル」だけを追いかけてみてきました。

こんなときにありがたいのは“ラスト1本は半額”システム。幸いなことに、プログラムの順序の後発が「アンヴィル」、最終回狙い。

最終回は満席の大盛況。熱気すらある場内で、自分は駆けてきて噴出す汗をひかせながら映画は始まりました。

正直、痛い内容の連続。それは、夢にかけて収入あやふやな職業についている自分には身につまされるものばかり。温かい目で見守る妻や子供の立場ならまだ言葉にも救いや応援なりの、マイルドな痛みで済むけれど血の繋がった姉の、家族だからこそ遠慮のない言葉が突き刺さります。「終わったことに気がついていないのよ。」

居心地悪くて、もだえる内容でした。しかも、ワールドツアーに出かけると行く先々で惨めな結果に終わるシーンの繰り返し。この地獄ツアーの果てにしみじみと日常へ帰るのかと思うと、最後の最後に東の果ての国、アジアからの仕事依頼が舞い込む。その異国でのコンサートが救いになって映画はエンド。

長く続けることは偉大だという反面、ドロップアウトも勇気のいること。環境や運命の歯車が、実力とは違う仕事の結果を残していくことを思うと、彼らの現状は決して人事とは思えません。(かと言って、一般的な仕事をしている観客と共感できないことを描いてるとは思わない。)

冷静な感想は書けない、痛くて、とても自分の糧になる映画でした。