三菱銀行貯金箱/ドナルドダック(1963)2011年06月19日 16:11

三菱銀行貯金箱/ドナルドダック(1963)
日本の銀行の中でどこよりも早くノベルティにキャラクター貯金箱を採用した三菱銀行が、ディズニーキャラクターの使用の許可を得て昭和38年(1963年)に最初に登場させたのがこのドナルドダックです。

最初がミッキーマウスでなくて、ドナルドダックだなんて驚かれる方もあるかもしれません。でも、ディズニーでは決まって新しいことにはドナルドダックを貸し出して様子を見て、真打ちミッキーマウスを出すという習わしがあるようです。(余談ですが、自分のディズニーコミックもそういう経緯でドナルドから許可を貰った経緯があります。)

三菱銀行ではそれ以前にブーチャンというキャラクター貯金箱をノベルティに使っていましたが、同じように首の上下の2パーツ構成で、嵌着(かんちゃく)を用い首が回ってポーズがつけられるようになっています。

ウルトラ怪獣のソフトビニール人形のヒットが1966年(昭和41年)~なので、ほぼ同じ時代かつキャラクターソフビの先輩と言っていいでしょう。
キューピー人形などと似たような方向性を持っていますが、手足のかん着がない上下のみの「頭」と「体」の2つで捉えるフォルムはどことなく“こけし人形”を思わせ、日本人には馴染みやすいディフォルメと言えます。

大ヒットを博したノベルティは、その後30余年を経る日本を代表する誰もが知るノベルティ・シリーズへと成長を遂げることとなりました。

三菱銀行貯金箱/ドナルドダック(1963)/背面と底
最初のドナルドは通常の貯金箱と違い、投入口がクチバシに設けられていました。のちには割り切って背面が当たり前になりますが、穴がフォルムを邪魔しないことを模索していた結果でしょう。ただ、この設置位置だとかん着の首のベロが口の中に覗いてしまい、コイン投入にも干渉があります。おそらく、この処理が続かなかったのはそのせいでしょう。

お腹についた4つのボタンも、現在のドナルドでは省略されてしまったオールドスタイル。
コインが入っているように見える黄色い袋をぶら下げ、その袋には三菱の“スリーダイヤ”。さぞかしお金がたまりそうな貯金箱ですがディズニーファンからすると、彼に貯金は身につきそうにありません。甥っ子の貯金箱にまで手を出す浪費家のドナルド。どうせならばスクルージおじさんの方が縁起が良かったんじゃない?なんて、無駄な想像を巡らせます。

ともあれ、銀行にカンキャラ、ディズニーキャラが飾られる“あの風景”第一歩になった記念すべきドナルドダックです。