映画『脱線あしか騒動/Sammy the way out seal』 ― 2006年02月23日 12:17
■ものがたり
アーサーとピーティの兄弟は夏休みで来ていた浜辺で怪我をしたアシカと出会います。二人は水溜をつくり手当てをしてやり、あしかに”サミー”と名づけ仲良くなります。日増しに回復しサミーはビーチボールで見事な芸当をするまでになります。
しかし休日は終わり、二人は帰らなければいけません。せっかく仲良しになったのに分かれるのは嫌だと弟のピーティーはだだをこねて車にサミーを隠し、家につれて帰ってしまいました。
両親に隠れてあしかを買うのは大変です。最初の晩はこっそり風呂場に隠し、台所から鮭の缶詰を失敬して食べさせました。翌朝パパがシャワーを浴びようとしたので兄弟二人はごまかすのに大わらわ。あわてて服を脱いで自分たちが使っているからと追い払いますが、ママはなくなった鮭の缶詰に不審がっています。
あしかを飼うにはどうしても泳がせてやらなければなりません。アーサーは仲良しの女の子、ロッキーの家に立派なプールがあることを思い出し、乳母車にサミーを隠して出かけます。
打ち明けられたロッキーはびっくりしますがすぐに味方になってくれ、サミーとみんな一緒にプールで遊んで楽しい午後を過ごします。
しかし、そんなにしょっちゅうプールは借りられないし風呂場を占拠し続けることも出来ません。兄弟は物置に小さな水浴び場を作るのですが、家から引いたホースの蛇口を親が閉めてしまい、あえなく失敗。水の出なくなった物置からサミーは抜け出し、ロッキーのプールに向かいます。その日ロッキーの家ではパーティーの真っ最中。町長のお父さんを中心に町の顔が集まり、中には兄弟の両親もいます。サミーはふざけて人をプールに落としてしまい騒動を引き起こしてしまいます。
※ラストまで書いてます。未見の方は以下注意。
翌日、騒ぎを知った兄弟はサミーが犯人だと直感しびっくり。しかも騒動が原因で両親はロッキーのお父さんと大喧嘩をしてしまったと聞いて大弱り。ロッキーと相談をして本当のことを言って謝ることを決めます。乳母車にサミーを乗せてロッキーのお父さんの働くビルに行くのですがそこでも一騒動。
ロッキーのお父さんは水槽の熱帯魚がいなくなったと大慌て。本当のことをなかなか言い出せないうちに180万円もする熱帯魚をサミーは全て平らげてしまったのです。ますます本当のことを言えなくなった子供たちはサミーを連れて退散しますが、ほっと腰を下ろすのもつかの間。乳母車を覗いた近所のおばさんが悲鳴を上げるのを発端にサミーは逃げ回り、犬はそれを追い回し町は上へ下への大騒ぎ。
当のサミーは噴水の上で涼しい顔をして騒ぎは収まりますが、この騒ぎを知ったロッキーのお父さんはサミーを観光の材料になると目を付け、町おこしをする計画をたてます。
しかし兄弟はサミーが大人の世界で利用される事には反対です。大切な友達を故郷に返すためにお父さんの車に乗ってもとの砂浜に戻ります。 別れを惜しむ一行はサミーに似た別の姿を見つけ驚きます。サミーが2匹!? そうではなくそれはメスのあしかでした。メスのあしかと楽しそうにするサミーを見て安心した兄弟は元気に別れを告げるのでした。
▲リバイバル公開時パンフレット
裏面は同時上映の『クマのプーさん』。
■個人的感想&解説
ディズニーライブアクション(実写)作品でも傑作の多い60年代の作品の一つ。興行的にはずすリスクの少ない動物映画が流行った時代の一本とも言えますが、その内容は子供たちの心理を自然に描いた良作コメディ。
わんぱくだけど甘さが抜けない弟に「しょうがないなぁ」と言う感じでひと肌脱ぐ頼もしいお兄ちゃんや、いかにもアメリカ的な強さを持った女の子ロッキーといった子供像の組み合わせは魅力的です。
親に隠れてだからこそ成立するワクワクのアドベンチャーは普遍的で40余年を経過しても色あせることありません。
時代なりの牧歌的な空気も今だからこそ魅力的と思えてしまう自分は回顧主義者かもしれませんが、そこも魅力の一つです。
時折検索をかけ続けているのですが、この映画に思い出を持っている方は思ったよりも多いようです。映画タイトルを調べてもらうサイトでは「こんな映画があったはず。」と、常連のようにあがっていますし、中でも驚いたのは子供の頃映画を見て白人女性の魅力に目覚めたと国際結婚したと告白したHPです。そこを見たときには人生を変える力まで持った隠れた名作と言う心象を強く持ちました。いや、それは作品の出来とは関係ないかな!?(残念ながらそのHPのURLはなくしてしまいました。)
日本では未ソフト化ですが16mmフィルムの貸し出しは現在でもあるようなので図書館や児童館でご覧になれる可能性はまだあるようです。
また、インターネットの便利な世の中、本国アメリカからビデオテープを買うことも可能です。コチラは字幕や吹き替えはありませんがシンプルなお話なので絵だけ見ていても殆ど展開は分かるはずです。実写ディズニーの中でもかなりお勧めタイトルです。機会ありましたら是非どうぞ。
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Sammy the way out seal
『脱線あしか騒動』(原題:迷子のあしか・サミー1962年度作品)
日本公開:64年7月/リバイバル公開77年3月
<当時の公開館と同時期の作品>丸 劇/トムとジェリーの大行進、脱線あしか騒動、フリッパー
監督: ノーマン・トーカー Norman Tokar
製作: ウォルト・ディズニー Walt Disney
脚本: ノーマン・トーカー Norman Tokar
撮影: ゴードン・アヴィル Gordon Avil
音楽: オリヴァー・ウォーレス Oliver G. Wallace
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