『八月の森へ行こう』へ行ったよ ― 2006年08月01日 23:33

事前情報を何も入れずに観たので、まっさらな気持ちで観ましたが、すごく良かったです。
物語は自伝的作品を書こうとして小説家がぶつかる思い出の障壁と建設会社が探偵に依頼した幽霊騒ぎの謎解きの物語。現在と過去が平行して語られ、幻想的にサスペンス的に休憩時間なしで2時間強を一気に観せきる。
舞台上には小道具が一切なく、衣装も白を基調とした飾り気のないもの。すべては観客の想像力にまかせるような趣向。自分にとっては初めての体験だったので改めてHPで確認したのですがカラーチャイルドでは定番のものだったようです。演者はパントマイム的な演技を基本とするのですが厳密なパントマイムではなく、座る芝居があっても立ったままだし、伝えることを基本としたお芝居。カーチェイスを生身の人間だけで演じてしまうのには恐れ入ると共に、カメラアングルまで変化させてしまう見せ方に驚かされました。
人が並んで表現される車、そしてカーチェイスしながら回り込み(観客の視点は動かないので演者が平行移動)カメラは切り替わり、拳で表現された車が人間で作られた地形を走るくだり表現を逆手に取ったギャグを入れながら展開。笑ってしまうけど、きちんとイマジネーションは伝わる感覚が心地よいです。
背景としてベルトコンベア状に流れる景色までもが演者なのに、真面目なシーンではおかしさではなく、きちんと感情が伝わっているのもきちんと切り替えがなされていて関心、納得の世界でした。
また、描かれる世界が青春の瑞々しさノスタルジックかつ幻想的なものなので後味が心地良い余韻が残っています。
センスが良い人がやっているな、と感じたのが入る時には気づかなかった場内に飾られた小道具の数々。舞台上にはいっさい小道具がないのに、階段の踊り場には登場人物のテストの答案、愛用しているとおぼしき手帳や、夏をイメージさせる花火セットや蚊取り線香(しかも、火がついていて実用されている。香りがいいムード。)が並び、イマジネーションを更に広げてくれる。
そういえば開演前のアナウンスが舞台になる町へ向かうバスのアナウンスになっていたのも、センス勝ちの処理でした。
ショックだったのは作り手が同世代だったこと。
うかうかしてられません。
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