映画『マルチェロ・マストロヤンニ 甘い追憶』~ ― 2007年08月09日 14:32

経験地の低い自分でさえ、晩年の作品は劇場で見ていましたし、以前の作品はリバイバルやビデオで触れていました。特別にファンと言うわけでもないのですが、やはり見たいと思わせる作品でした。
何しろタイトルが『Marcello, UNA VITA DORCE』、『La Dolce Vita (甘い生活)』のモジりですよ。イタリア映画ファンなら外せない作品でしょう。
(徹夜仕事明け、帰ってもどうせクーラーなしの我が家では灼熱で寝ることが出来ないと思い、思い切って劇場へ。寝不足を圧しても、眠くならない作品でした。)
何しろ登場する人物が、重鎮のオンパレード。物故者である監督たちも記録フィルムからの引用でつながれマストロヤンニに関係の深い映画人が総登場。本人に映画人といった仕事関係の人だけでなく、二人の娘が語るプライベートの人物像。そのインタビューが今回の肝のようで、新たな視点も加えた様々な角度からマストロヤンニがどんな人物であったのか語るドキュメンタリー映画に仕上がりました。
世間の偏見である“ラテン・ラヴァー”と言う印象は自分の世代的には薄く、「かつては」という程度の認識。でも、晩年にも自宅にファンの女性が忍び込み、ベットで待っていたと言うニュースの記憶も濃いです。思うに絶頂期は凄かったのだろうと想像されます。その微妙な認識で挑んだドキュメントであったので、当事者や本人の弁や各々立場での認識のズレも興味深いものでした。

そっちが主食かよ、と突っ込まれそうなのですが『ニュー・シネマ・パラダイス』の熱狂者としても嬉しいフィルムで、関係者としてはG・トルナトーレ監督とP・ノワレのインタビューフィルムが挿入されています。
この作品では触れられていませんが、そもそも『ニュー・シネマ・パラダイス』のアルフレードはマストロヤンニにオファーされたキャラクター。エットーレ・スコラ監督の『スプレンドール』が無ければ、マストロヤンニのアルフレードが完成していたかもしれない縁ある人。個人的な興味として、その部分での興味がある俳優というのも確かです。
P・ノワレの映像としては最晩年と思われるその姿に、別な部分で胸が締め付けられる思いもあったのですが、マストロヤンニに対する評価の高さ、信用度も並々ならぬものがあったのだと思う証言でした。
G・トルナトーレ監督の証言からも「ニュー・シネマパ・ラダイス」撮影中の逸話、「みんな元気」の現場では世間に定着しているマストロヤンニ像とは違う部分を垣間見る興味深い証言でした。
そしてエンドクレジットは明らかに!!! ……な仕掛け。
いろいろな意味で胸の熱くなるフィルムでした。
亡くなって10年ですか。あっと言う間のようで、長い時間が流れていたんですね。
コメントをどうぞ
※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。
※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。
※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。