模範解答を教えて ~万引きを目にした時2007年09月26日 08:08

まっすぐ帰らないで、ふらふらとコンビに寄り道しながら帰るからいけなかったのかもしれない。家に着いたらすぐに寝ようと思っていたのに、そういう気分でなくなってしまった。

早朝5時台。真新しい新聞が入り口の棚に突き刺さり、朝日を浴びている。仕事帰りの自分はコンビニに食玩探しに入ろうとした。その時、目の前の男が不審な動きをした。60がらみのオッサン。いやさ、オジイサンと言うべきか。外見で判断するのは悪いけれど、身なりはあまり良くなくホームレス生活をしている人だったのかもしれない。
入り口の新聞スタンドに手を伸ばしていたオッサンは、自分が至近距離に立った瞬間、出しかけた足の向きを変えた。あたかも、スタンドから新聞を抜き取り、そ知らぬ振りをして立ち去ろうとしていたのに、人の目を感じ、しょうがなく店内へ入ったように見えた。

明らかに不振な動き。 あ や し い。

自分はまっしぐらに食玩の棚へ行き、お目あての商品がないことを確認しつつ、そのオッサンがレジに新聞を持っていくのか気になっていた。 そのお店のレイアウトは少し変わっていて、食玩が一番奥まった場所にある。フッと入り口に振り返った瞬間、オッサンの動作が目に入ってきた。レジを気にしながら、陳列棚を挟んだ陰で服の下に新聞を隠している最中だった。自分にしてみると「やっぱりな。」と冷めた気分で眺める。

店員さんは若く、学生さんのバイトの様子。万引きには気づかず、レジで別のお客の会計を済ませている。自分はオッサンが店から出るのを追いかけるように足早でレジの前を通り、「あの人、新聞万引きしましたよ。」と伝えた。二人で追いかけるようにドア付近へ向かったとき、次の客がレジ前に立ってしまった。聞こえないくらいの小さな舌打ちをして店員さんはレジへ戻った。

自分はドアの外に出て、オッサンの後姿を目で追った。
オッサンが1ブロック先で曲がり角を曲がった瞬間、店員さんは出てきたけれど、他に店員がいない様子。すでに追いかけるのも困難なほど離れてしまった。店員さんは諦めたようで状況を軽く聞いて店内に戻ってしまった。

自分の帰宅方向とも言えなくもない方向に曲がっていったオッサン。追いかけたところで、何が解決するとも思えない。でも、こっちはモヤモヤして自転車でその道を帰った。オッサンには、すぐ追いついてしまった。手に入れた新聞を広げ、読みながら路地を歩いている。まるで当たり前のように、リラックスしている。

たぶん、自分の薄っぺらな正義感が働いたのだろう。何か一言いってやりたくて自分は新聞の前に顔を出して、
「払おうよ。」
と、力強くも落胆したイントネーションで言った。オッサンは暴れる様子もなかった。と、いうより何が起きたのか理解するのに時間がかかり呆気にとられたのだろう。でも、もう自分は関わりたくなかった。
息子でもおかしくないような若輩者の自分に万引きの一部始終を見られ、それを注意される初老男。どうせバツの悪い顔をするくらいしか反応できないであろう。そんな男を見る気がせず、自分は目をそらして、その場を去った。

なんか、無性にくやしくて、悲しくて、イラだった。
その男を吊るし上げてコンビニに突き出すのも、何か正解ではないように思えた。
かと言って、同情するのも違うと思った。仮に貧乏だったとして新聞を盗むのを気分的ですら肯定できない。たかだか100円ちょっとの新聞。そして食べ物とは違って、新聞。読まなくても死なない。いい年の人間が新聞の盗み。
なんか悲しい。同情したって、厳しくしたって、結局オッサンの性根は治らないように思える。悲観的すぎんのかな。

はたまた、都会人の冷たさもあるのかもしれない。
面倒なことには関わりたくない感情、そして責任を問われる立場に立ちたくない感情。

数年前、アパートで別の部屋を荒らした空き巣と対面してしまった。自分が犯人の似顔絵を描き警察に協力し、翌日には犯人の写真を持って刑事さんが来た。
99.9%の確立で犯人と同一人物だと思ったのに、一気にいろいろ想像して断定を避けてしまった。
自分が断定すると、その人が犯人になるという状況下。人の運命を左右できてしまう重圧と自分にその裁きをする資格(もしくは自信)があるのか。 「すごく似てますね、メガネをかけてなかったので……。」

今考えると、自分の自信のなさがいけない。だって、あれ、犯人だったよ。自分の似顔絵で書いたのはあの人。そして、それを読み取って写真を持ってきた警察の捜査力はすばらしい。
でも、人を裁く後味の悪さを味わいたくなくて、逃げ腰になった自分。己に腹が立つ。

今回の万引きに対してもチラと近い感情が、あったかもしれないと反芻して思えてきた。

現場で、即時、大きな声で言うべきだったかな。

なんだよ、後味悪い朝だな~。
オッサン、あんたの新聞はアンタが思うよりも大きな影響を残しているぞ。
くそ~、なんか反芻してぜんぜん眠れない。眠いのに!
俺が新聞代払ってやるから、模範解答示しやがれ!(怒)

あーいうときはどうするのが模範解答なんですかね。
教えて! 経験者! (or 一般的意見)

BULLYWORLD ~PVC人形のガイドブック2007年09月26日 12:23

BULLYWORLD GUIDE BOOK
最近、連続してコレクター御用達のショップで「PVCフィギュアのコレクションは資料が少ないから、シリーズ把握している人は珍しい。コレクションは公開してほしい。」的なことを言われました。
商売的なリップサービスが多分に含まれているとしても、日本では共感する部分もあります。でも、世界規模でみるとプライス・ガイド、もしくは個人のコレクションを公開しているような洋書はわりとあります。
自分もオン・タイムで集めたものは把握していても、それ以前はその手の洋書に助けてもらっているし、忘れてかけたことを再確認するケースも多々あります。

そんな訳で画像は一昨年の秋に購入したドイツのPVCメーカーの商品のコレクターブックです。
商品の多彩さが魅力で、かなりマイナーなキャラクターもリリースするドイツBULLYLAND社。技術力は決して秀でていないのですが、その朴訥とした手作業のにおいが、時に味を感じさせ、時に苦笑を誘います。
同社商品を展示するミュージアムができたようで、その目録のようなものなのでしょう。オフィシャルな資料でリリース年が分かるところが嬉しい本です。
しかし、21世紀に入っても、その造形センスは……、と思っていたら、最近はめっきり表現力が上がって苦笑できる機会が少なくなりました。商品が良くなるのはもちろん企業にとって大切なことですが、何か寂しさを感じる部分もあります。

ベルリンの壁が崩壊する前の商品の生産国表示は"west germany"。時代を感じると共に、その大味を良しとしていた市場が消えつつある結果なのではないかと、感じる今日この頃です。

■BULLYLAND HP:http://www.bullyland.de/

(ふと考えてみたら、個人のコレクションブックではないにしろ、事あるごとにコレクション・ブックみたいな企画には加担していることを忘れていました。「ドラえ本」とか、「ディズニー・ストリート」とか……。)