映画『ミス・ポター』 ~心地よい環境映画2007年09月17日 23:03

ミス・ポター/劇場パンフレット
「ピーター・ラビット」の作者ビアトリクス・ポターの半生を描いた映画『ミス・ポター』を観てきました。
伝記もの映画ならではの波乱万丈のドラマがあるのだろうと、勝手なイメージを抱いて挑んだのですが、良い意味で裏切られました。クリエイターとしての苦悩や苦難……最初は認められずに本が売れない、とか展開するのかと思っていたのですが、その辺はトントン拍子。本が売り出されたら即、ベストセラーの展開に「うらやましいなぁ」という的外れな感想を抱いてしまいました。

この映画は本を送り出した出版社の担当編集者とポターのロマンスを主軸においた作品。無論、すべてが順風満帆ではありませんが立ちはだかる苦難はある意味、想定の範囲内。その意味、意外な展開というような類は感じない映画なのですが、何といっても、その世界を包むムードが心地よくてたまらない。

「ピーター・ラビット」を生み出す環境が現実として存在する世界なのだから、背景となる自然が心地よいのは当たり前にしても、登場する人物がまた心なごむ人物像ばかり。その存在感が、また心地よくて。

予告編などに登場する挿絵がそのまま動き出すようなファンタジックな演出はポターの想像力を観客に伝えるためという最低限の使用法で抑えられていて、内容はあくまでも現実世界を描く。そのストイックなまでの姿勢が、良い。気持ちいい。

正直、この映画をほめる言葉を捜すのは難しいことです。ドラマ性が厚いとも思えないし、特撮がすばらしいと言う種の映画でもない。地味だしこじんまりまとまってる感もある。でも、その中に描かれる自然と人物が、これ以上にない魅力的な空気を漂わせていて愛さずにはいられない空間を作っています。

この映画は環境映画のようにシャワーを浴びるように楽しむ映画なのかもしれません。いや~、いいシャワー浴びました。

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