映画「カールじいさんの空飛ぶ家」 ~テンションUP2009年06月09日 23:59

Disney PIXAR UP / Japanese flyer
●Disney PIXAR UP Official site<英語/米サイト> http://disney.go.com/up/

●カールじいさんの空飛ぶ家公式サイト<日本版>http://carl-gsan.jp/

ディズニー・ピクサーのコラボの10作目にして最新作『カールじいさんの空飛ぶ家(原題:up)』が全米で公開。その成績と評判で、既にファンには大注目になっています。日本では12月公開と、まだまだ先のお話ですが、なんとかネタバレしないように感想を書き留めておきたいと思っています。

まずは本編前の恒例、短編アニメーション。今回の作品は雲をテーマにして本編とどこかリンクしている印象のある『晴れときどき曇り(原題:Partly Cloud)』。完成度はいわずもがな。そのテイストは40年代の黄金期ディズニーを髣髴させる美麗な色彩とコテコテなファンタジック&ギャグ。自分が思い出すのはシリー・シンフォニーの『子供の夢』や『ファンタジア』、『メイク・マイン・ミュージック』の中の『くじらのウィリー』などなど。前回の併映作『マジシャン・プレスト』のディズニー・レスペクト&ドタバタとはまた違ったテイスト。往年の作品群への愛を感じる世界でした。特に色彩設計は荘厳さすら漂わせ、ギャグの世界なのに圧巻。

そして本編『カールじいさんの空飛ぶ家』。
もう、期待を裏切らずに10作を重ねるなんて神がかってます。
降参!ホールド・アップです。

齢78歳の老人と少年が一緒に風船で飛ぶ家で大冒険を繰り広げる。それだけのシノプシスで挑むと、いったいその先で何が繰り広げられるのか、面白くなるのか、まったく分からない状態だっただけに結果には大満足と言うか、満足以上の結末でした。
ドラマの細部が綿密に絡み合い、見事なまでに伏線を回収していく展開は映画の見本ともいうべき完成度。家族、愛、夢、冒険、etc…といった普遍的なテーマをキッチリ描く構成は見ればはまる事必至なんですが、これってセールスしにくそうな映画です。普遍=ありきたりで無個性にも思われかねない構成パーツは“観なければ”魅力が伝わらないし、キャラクターもおじいさんと少年という無個性ぶり。観ればそのキャラクター性に惹かれるにしても、ビジュアルとしてのキャッチーさは著しく低い。PIXAR作品としては初めてキャラクター・セールスに不安を感じるビジュアルです。はたして、吉と出るか、邪と出るか。

短編アニメーションを含めたアニメーション世界では、ある種定番とも言うべきジャンルに“老いアニメ”があります。近年だけでも賞を受けて話題になった『岸辺の二人』、『バーニー(1998/Blue Sky studio)』、『つみきのいえ』などなど。ピクサーでは『ゲーリーじいさんのチェス』なる作品もありますが、ちょっとアプローチが違うので、別扱いで。
潜在的に賞狙いになりかねない硬いモチーフだと思うのですが、長編作品でこれに挑戦しているといってもいいような直球アプローチを感じる「カールじいさん」。

ちなみにジブリ長編アニメ作品『ハウルの動く城』はまったく老いを描かない逆ベクトルなので、影響を論じる以前の問題。むしろ歳をとってからの冒険と男の世界と言う意味では『紅の豚』を想起させる間口の狭さを感じさせられた「カールじいさん」……。いや、ジブリ映画並みにヒットして欲しいのだけど、不安でもある。脱線。

78歳のじいさんを主人公にして、人生の黄昏を描きつつ、そこであざとくやれば短編映画のそれらと重なる部分もあるのだけど、そこはピクサー映画であり、ひいてはディズニー・スピリットを酌んでいる後半の展開は、ほんと気持ちがいい! 歩行すらスムーズじゃない主人公にアクションシーンのクライマックスが用意されているなんて。

そして何よりも精神的な前進。キープ・ムービング・フォワードに通じる精神性。

早くリピートして観たい映画!
蛇足ですが、今回の初観では定番のお遊びをまるで見つけられませんでした。ここを確認するためにも、まだまだ観たい。12月は遠いなぁ。

コメント

_ ふこをさん ― 2009年06月13日 14:36

そ、それで金欠だったの?

_ しらいしろう ― 2009年06月13日 15:25

いえ、映画と金欠は別問題でス。
期待していた仕事が来ないと今年後半は金欠必至ですが。

_ ふこをさん ― 2009年06月14日 21:43

アメリカまで行ったかと。

_ しらいしろう ― 2009年06月14日 22:15

風船で行ってきました。(ウソ)

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