映画「ホルテンさんのはじめての冒険 」~北欧の鉄道で人生の旅 ― 2009年03月25日 16:52
チケット・ぴあで販売されている前売り券の図版を見て“おもしろそう!”とピーンときた一本。“じーさん”、“犬”、“電車”と構成している要素がすべて自分の好むものだから、そりゃ見たくなるだろうという映画。
2008年度のアカデミー賞外国語映画賞<ノルウェー代表>、2008年度カンヌ国際映画祭・ある視点部門出品、パルム・ドッグ賞 特別賞受賞<犬のモリー>などなどの経歴がポスターに踊り、すでに評価を得ている作品ようです。”パルム・ドール”ではなくて“パルム・ドッグ”ってのが洒落が効いてます。
金属40年の生真面目な運転士、ホルテンさん。せりふが最小限で、景色やムードを楽しむのも良いし、その独特な読めない展開とユーモアに酔ってもよし。鉄道ファンなら、登場する車両や施設、運転士のライフスタイルに注目するも良し。定年後の人生を考えるテーマ性に注目して参考にするも良し。さまざまなアプローチで興味を惹きます。
定年退職日に人生初の遅刻をしたから、さあ大変!
はたして彼を待ち受ける運命とは?
いくつかの注意点として思ったのは邦題の「冒険」。人生を冒険するという意味では、決して内容を外している訳ではないのですが、コメディとしてもっと派手なもの想像していた自分はミスリードされてしまった気分。“なるほどねぇ”と思ったと同時に原題には、ないことを確認してしまいました。
生真面目で巻き込まれ型の主人公として、平均的な没個性な像を予想していた自分は、いい意味で裏切られました。生真面目ではありますが、ホルテンさんは、かなり変わったキャラクターです。
流されやすく、人の目があると務めて生真面目で融通が利かなさそうに見えるのですが、いざ一人になり他人の視線がなくなると、のびのびと結構自由な行動に出る人物。その切り替えがおもしろく、とぼけた人物像にいい味を加えています。
そして平均的と思えない、もうひとつの要素は家族構成。
劇中からするとおそらく結婚暦はないようだし、母を大切にするあまり、チャンスがなかったのか、受動的に流されてしまったのか……。
なかなか不思議な設定で、最大公約数的なキャラクターとは思えないのです。
しかし、その独特の語り口とユーモア。
流されることに得意な自分としては運命に流される部分に共感してしまう部分もあって、ゆったりと物語にたゆたうだけで心地よい映画でした。
[↑劇場ロビーに飾られていた監督のサイン]
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