切なさと美しさを感じる品 ~E.T.指ぬき(シンブル)2006年03月15日 08:11

"E.T." thimble  by FORT
ちょっと前の話ですが親が海外旅行で指ぬきを買ってきました。日本のものと違うから使いやすいと見せくれました。確かにバンド型の指ぬきが主流の日本のものに比べ海外のものはキャップのように指にはめる形で使い心地が良さそうです。

それを見て自分も一つだけ指ぬきを持っていることを思い出しました。それが90年代後半にフロリダのユニバーサルスタジオで購入した画像掲載の『E.T.』の指ぬき。指ぬきは西洋でかなりコレクターの居るジャンル。このような実用性が低いディスプレイ目的のコレクション用も多くリリースされています。

E.T.マニアである自分は旅行中ごっそりグッズを買いましたが、一つ一つにツボがあります。中でもこの商品は興味深い物でした。 あの指を出したポスターデザインに引っかかっているのかと思われそうですが自分はそっちよりも『ピーターパン』との関連に琴線がピーン。(製作側がそこまで考えているかは不明ですが……。)

『E.T.』は『ピーターパン』に多大な敬意を払っている作品です。童心を忘れずに空を飛べる物語という共通点も充分にそれを感じさせます。劇中にある具体例は末娘ガーティーの枕元でお母さんが読んであげている本、『ピーターパン』がそのものです。「妖精を信じる人は手を叩いて!」と言われ妖精を救うためにガーティーが手を叩くシーンはフィクションと読者の理想系を感じる素敵なシーンです。

『E.T.』の映画の中では登場しませんが『ピーターパン』に登場する”指ぬき”と言えばウェンディがピーターパンに贈るもの。しかもピーターパンはそれが”キス”だと信じています。

E.T.は大人には見えないと信じるガーティーやエリオットたちにとっても彼は妖精のようなもの。そしてE.T.は淡い恋心をエリオットのお母さんに抱いているのですがそれは届くことなく終わります。(カットされたシーンではチョコレートをエリオットのママの枕元に贈る直接的なシーンがあります。) ウェンディをお母さんと慕うピーターパンたちと同様、母あってこその子供の世界。その世界をなぞるように『E.T.』では大人の中で唯一子供と同等の扱いで描かれるのがエリオットのママ、その人です。『E.T.』は『トムとジェリー』で人間を描くときに腰から下しか描かないように、子供の世界が成立している前半は大人の顔が写らないフレーミングをしています。そのルールを唯一破っているキャラクターがエリオットのママで、彼女だけは子供の世界で存在を許されている人だと言うことが伝わってきます。

そんな彼女に想いを寄せるE.T.の届かない想いを”kiss”として具現化したような品の「指ぬき」は切なくて『E.T.』のコレクションの中でも深さを感じる逸品です。

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