『グリンチ/How The GRINCH STOLE Christmas!』(1966/チャック・ジョーンズ版)2006年12月22日 20:15

『グリンチ』チャック・ジョーンズ・アニメーション版ビデオパッケージ、グリンチ本人のサイン入り(笑)
1966年クリスマスシーズンのTVスペシャルとして製作された名作絵本のアニメ化。アメリカでは毎年再放送される定番プログラムになっていると聞きます。
ルーニーテューンズのロード・ランナーシリーズでお馴染みチャック・ジョーンズ監督作品。グリンチが作戦を考える姿はワイリー・コヨーテの間合いを彷彿させます。

プロデュースはチャック・ジョーンズとセオドア・ガイゼル。ガイゼルは原作者Dr.スースの本名です。膨らまされたエピソードも原作者の参加でイメージ通り。特に挿入歌はDr.スースが書き下ろしたオリジナルナンバーで、韻を踏むスース文体を堪能できます。
ナレーション、グリンチの声、挿入歌は怪奇俳優としておなじみのボリス・カーロフ。怪物の悲しさを知っている人だからこそ出せる異形の者の哀愁をかもし出しています。

原作に比べて犬のマックスの存在感が大きく、グリンチに翻弄される姿は笑いを誘い、かわいさも引き立っています。
人よりも2サイズ小さいグリンチのハートが目覚める瞬間はチャーミングで素敵です。
雪の結晶が降るOP他、多くのイメージが実写版のグリンチでストレートに再現されています。映画の原点が絵本だけでなくアニメーションなのが見て取れます。

多くの作品同様、実写版の成功は稀有です。原作が有名絵本でであっても日本でのアピールは低く、この手に当たりがない印象なのも確か。自分にとっても映像作品で推す”グリンチ”は実写版ではなく、このアニメーション・バージョンです。実写版も決して悪くはないんですけどね。


画像のサインはフロリダ、ユニバーサル・エスケープの中にあるDr.スースの世界を堪能できるゾーン”スース・ランディング”で購入したもの。
ぬいぐるみのグリンチ(……ぬいぐるみ言うなよ。)がパッケージにサインを入れたものです。サイン入りと言う特典付き商品なはずですが、喜ぶ人は少ないでしょうね。(^^;

▲奥の壇上がグリンチ。手前の赤青のキャラクターは『ハットしてキャット/ CAT IN THE HAT』のモノ1号と2号。

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チェスターのメリークリスマス/ A Very Merry Cricket(1973)2006年12月21日 23:56

チェスターのメリークリスマス A Very Merry Cricket(1973)/クラリオンソフト・ビデオパッケージ
1973年、TVスペシャルで製作されたクリスマス・アニメーション。
監督はロードランナー・シリーズでおなじみのチャックジョーンズ。
原作は『The Cricket in Times Square』などのこおろぎのチェスター・シリーズ。グリンチが原作に忠実なアニメ化と言う印象に対し、こちらは何冊かのストーリーがミックスされダイジェスト版のような印象を受けます。

ニューヨーク、タイムズ・スクエアの地下に住む猫のハリーとネズミのタッカーは仲良しコンビ。クリスマスに沸くニューヨークはうわべだけで、何かおかしいムードだと感じた二匹はかつてニューヨーカーの足を止めさせた名ソリストのこおろぎ・チェスターを呼び戻し、再び美しいメロディをニューヨーカーに聴かせ本当のクリスマスを思い出してもらう計画をたてます。チェスターを迎えにコネチカットまで行きます。懐かしい顔が揃い、NY行きの列車に滑り込み、ついに作戦決行となりますが都会の雑踏の中ではチェスターの美しいメロディはまるで聞こえません。あきらめかけたその時、奇跡が起こり……。

TVアニメを感じる枚数の少ないアニメーションでバンクも多いのですが、そこはそれ。印象的なシーンも多く心に残るアニメーションです。
ニューヨーカーの描写がモノトーンのリアル・タッチで動物達のユーモラスなデザインとコントラストになっています。ちょっと傾向は違いますが、『ガンバの冒険』の人間がモノトーンになっている演出を思い出しました。
70年代らしい影を感じる作品ではあるのですが、それもまた魅力の一つだと思ってます。

1975年に同キャラクターたちの続編『ヤンキー・ドゥードルの大行進』が製作されています。

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原作本『The Cricket in Times Square』
ビデオ『チェスターのメリークリスマス』

映画『オープン・シーズン』~笑って笑って深さに染みる2006年12月14日 03:59

OPEN SEASON / MOVIE TICKET
家を出るときには数本あった見たい映画の候補から選んだ、自分にとっての一番旬の映画『オープンシーズン』。改めて、その日の服装に目をやると、Tシャツはディズニーの『ジャングル・ブック』でした。もう家を出る前から深層心理は決まっていた感じです。どんたけマンガのクマが好きやねん、とセルフ・突っ込み入れてしまう有様。

予想だけでなく本編を実際に見てみて多いに気に入った作品です。何よりも終始おバカなギャグが満載で往年のカートゥーンのノリを感じさせる畳み掛けるようなテンポでギャグをかましてくれる呼吸が心地良くて。

さて、『ジャングル・ブック』は別としてもクマがキャラクターとして登場するアニメは多くあります。『オープンシーズン』のように森林警備隊員とクマと言う組み合わせを考えてもディズニー短編アニメのハンフリーベア(Humphrey Bear/1950~)の一連や、日本でもお馴染みのハンナ・バーベラのTVアニメ『クマゴロー/The Yogi Bear Show(1958)』が思い浮かびます。

森林警備隊員が女性と言う配置が現代的とも思ったのですがロジャーラビットの短編「キャンプは楽しい/TRAIL MIX-UP(1993)」でジェシカ・ラビットがセクシーな森林警備隊員として登場していましたっけ。後半のジェットコースターシーンでとぼけたクマも登場しているのを思い起こすとこれらのステップを経た系譜の作品だと思います。
ロジャー・ラビット」に参加しているロブ・ミンコフは『ライオンキング』コンビの一人なので近い印象です。

ロジャー・アラーズとロブ・ミンコフが監督した『ライオン・キング』は新ためて説明は要らないでしょう。
そういえばブーグとエリオットの凸凹コンビぶりはどことなくティモンとプンバァのコンビネーションを彷彿する部分もあります。

ひたすら笑って笑って楽しい時間を過ごしました。
特にペットとして飼われているブーグ(クマ)が野生を取り戻して動物の皮を裂き、内臓を引きずり出している!……と人間に勘違いされるくだりのブラック・ユーモアは激しくツボを攻撃されました。
のどか森の動物会議」を思い出す動物達の結束ぶりも愉快、痛快。


<※以下ネタバレ感想>

笑って、笑って、ひたすらカートゥーン的なドタバタに終始し、最後だけ生暖かいヒューマニズムな展開を予想していた自分。もちろんファミリーピクチャーの本分を考えるとそれであったとしても充分の展開なのですがそれ以上のラストに兜を脱ぎました。

ペットとして飼われ、野性味のないブーグの幸せはパークレンジャーのベスの元に戻る事だと終盤付近まで疑問も持たずに感じていたし、定型的にそうはならず野生へ返りハッピーエンドなのは見え見えなのですが、改めてそこに考えさせられるラストは思う以上に深いテーマを抉り出していました。

ベス=多くの人間側の視点からすれば動物に深い愛情を傾け、痛いほどに感情の変化が伝わるキャラクターのポジションなのですが、主人公である動物側からすれば愛ではなく人間側のエゴなのだと言わんばかりのビターな別れ。いつまでも胸に残りそうな結末でした。

ライオン・キング』くらいしか印象の無い自分は監督ロジャー・アラーズに対してギャグアニメ作家の色眼鏡をかけていたのですが、この映画や先頃発売された『リトル・マーメイド』のDVDに収録された新作短編アニメ『マッチ売りの少女』といい、本作といいエモーショナルを描くのが上手い人なんだと認識が新たになりました。

■『オープン・シーズン』関連エントリー
映画『オープン・シーズン』~笑って笑って深さに染みる ― 2006年12月14日
映画『オープン・シーズン』 ~技術面の雑感 ― 2006年12月11日
PEZ『オープンシーズン』 ― 2006年11月17日

ワンコインフィギュアシリーズ グレムリン(全6種)2006年12月13日 15:43

ギズモとスポーツカーラジコン
・ギズモとスポーツカーラジコン
公開当時の大型ミニカーとあえて微妙にはずしていたプルバックトイくらいしかなかったあのシーンがハイクオリティの仕上がりで手の中に! コロ走行可能!

84年末の日本の映画興行はGの頭文字がつく特撮(SFX)映画が3本並び、”3G決戦”と呼ばれました。邦画代表『ゴジラ(1984)』を筆頭に、『ゴーストバスターズ』と『グレムリン』並んだモンスター映画はどれが勝つかと盛り上がりましたが、その盛り上がり自体が相乗効果になって、3本ともヒットした印象が残ります。

E.T.』のヒットも記憶に新しく、親しみやすい異形の者が登場する映画が歓迎された時期でした。当然自分もハマるべくしてハマり今でも好きな映画の一本です。公開当時はそのオタクなネタやその後、好きになるクリエーターたちのカメオ出演は全然分からなかったですが今でこそ、その豪華さ(と偏執)に魅了される映画です。

クリスマス映画と言えばハートウォーミング的なものばかりを思い浮かべますが、それらとあわせて思い出す悪ノリがチャーミングな一本です。
1990年の続編『グレムリン2 -新・種・誕・生-』で幕を閉じた製作ですがマーチャンダイジングは今でも新商品が開発される息の長さです。

しかし、新しいものに塗り替えられる契約上の方針のせいか、パート2の商品は多々見かけるのに1作目のものが少ないと嘆かれるたのがここ数年の現状。そこに一石を投じたのが今発売中の『ワンコインフィギュアシリーズ グレムリン』です。全てが一作目の情景からとられた再現モデルでかゆいところに手が届く、届く。こんな商品を待っていたと大喜びの商品です。

1箱500円のブラインド・ボックスのコレクションフィギュア。
全5種+シークレット。メーカーはコトブキヤ。
原型製作:鬼山尚丈・阿部順之介

アマゾンで商品をチェック


・ギズモ
耳を取り外すパーツ構成のおかげでサンタ帽子の着脱が可能。
80年代のテイスト炸裂のキーボードが更に味わい深い。


・ストライプモグワイ
ゲーム機はドンキーコングなのですが版権問題かロゴやキャラクターをあえて潰し気味にプリントしているところが大人の事情をかもしだします。
しかし、ムードを損なうことなくこれだけ作りこまれているのはやっぱり嬉しい。


・ストライプグレムリン
敵の大ボスになったストライプグレムリンも三輪車に乗るチャーミングな面を見せてくれるのがいいところ。デパートの中で大暴れするヒトコマを再現。
三輪車の前輪は回転させることができます。


・グレムリン
露出狂のグレムリンがラインナップに。ってか、アンタら最初から裸だろうというツッコミ所満載。サングラスは着脱可能です。

・シークレット
ストライプたちに貼り付けになっているシーンがシークレット。
ターゲットの裏にマグネットが仕込まれていて冷蔵庫やスチール棚に貼り付けてディスプレイできるスグレモノです。

映画『オープン・シーズン』 ~技術面の雑感2006年12月11日 12:52

OPEN SEASON / MOVIE PAMPHLET
ソニー・ピクチャーズ アニメーションのフルCGアニメーション第一作『オープンシーズン』がいよいよ日本でも公開されました。CGアニメの参戦としては後発で、新鮮味は薄いかもしれません。しかし、侮れない素晴らしいフィルムでした。
技術面で言えば背景のデザインの妙味! ハンドドローイング(手描きの絵)を貼り付けているのではないかという見栄えは狙って2Dに歩み寄った結果だそうです。(メイキングの文章が読みたくてパンフレットを開くのが楽しみでした。)
パンフの解説文によれば今回の背景処理はアイヴァンド・アールのスタイルを3D背景で再現させようというコンセプトで生まれたもの。氏と言えばディズニーファンには開催中の『ディズニー・アート展』で「眠れる森の美女」の背景がフィーチャーされまくっていたあの人です。直線的に整理されたシュルエットに質感をコラージュのように描きこみ、建造物は微妙にゆがめて非対称的に描くスタイルは個性的です。

今回の特色が”2Dと3Dの融合”と言う解説を読み、結局のところ時代は繰り返すのか、という想いもこみ上げてきます。
平面である絵をマルチプレーンカメラなどを駆使し写実的に遠近感を描き、再現しようとしていた長編アニメーションの流れが一つの到達点を得て、ソコから次へのステップとして平面であることの長所との融合を目指した転換期に生み出した一つのスタイルがアイヴァンド・アール風だとしたら、3Dデータから画面を生み出す逆の発想であるCGアニメーションの目標が結局のところ二次元との融合と言う中間点が目標と言う時代の流れが面白いです。(もっともJ・ラセッターは当初からカートゥーンの再現を目指していたわけですが。)

カートゥーンとの歩み寄りと言う点ではスクワッシュ・アンド・ストレッチ(縮めと伸ばす)を各社、色々なスタイルで再現していますが「オープン・シーズン」では骨格を軟質にしたように変形させる技術で再現。ギャグシーンで最大限に活用されて居ます。このドタバタぶりは白眉。

そして、背景技術面でのもう一つの驚きが水の描写。これだけうねりながら激しく流れる水の動きの描写と上がるしぶき、技術進歩の速さに隔世の感があります。
……と技術面でこんだけ盛り上がってもやっぱり重要はなのはストーリーや演出です。技術的な驚きよりも洪水の流れに気がつきキャラクターが無駄な抵抗をする”ワイリー・コヨーテ演出”に爆笑、引き込まれる自分はやっぱりカートゥーンファンです。

と言うわけで内容面での感想に続きます。
(つづく)

ぬいぐるみ『グリンチ/How The GRINCH STOLE Christmas!』 by Hallmark (1998)2006年12月01日 18:00

"GRINCH" plash doll (1998) by Hallmark
いつだったか、イベントで外人のディーラーさんが大量にぬいぐるみを持ち込んで販売していて、その山の中から発見購入した品、ホールマーク社製1998年のグリンチぬいぐるみ。Dr.スースの代表格キャラクターは本国アメリカではいろいろ商品開発されているようです。
このぬいぐるみは実写映画化される前のもので、珍しく原作版。グリーティング業界90年の老舗であるホールマークは自分にとってはクリスマスオーナメントのメーカー。ぬいぐるみまで出していたなんて、この時まで知りませんでした。

早いものでもう12月。師走に気持ちだけが空回りを始めています。こんなんなら、もっと計画的に……なんて後悔しても後の祭り。
イベント”クリスマス”も、いっそグリンチに盗まれて今年は休業、なんてことになれば色々助かるな、なんて夢想する12月いっぴ。


高島屋チャリティ・オーナメント「ファーザー・クリスマス2006”ハートを抱いたサンタさん”」2006年11月25日 23:14

高島屋チャリティ・オーナメント「ファーザー・クリスマス2006”ハートを抱いたサンタさん”」
今年もこの季節がやってきました。毎年、1つづつ発売されるタカシマヤのチャリティサンタ人形、クリスマス・オーナメントの新作が23日発売開始されました。当日にはTVのニュースでも報道されていました。聞き間違いが無ければ一万7千個の限定個数だという事です。1個(高さ約5.5cm) 300円。

サンタの抱くハートには「LIVE LAUGH LOVE(生、笑、愛)」と刻まれています。金色のハートにはレインボーカラーのラメが入っていて輝きが強調されています。
絵本のイメージからは大分前から遠いところへきている印象ですが、パブリックイメージをわざわざ外す必要も無く、綺麗なイメージはわざわざくさす必要も無いでしょう。
毎年描き下ろされる新作イラストレーションも楽しみだったのですが今年は該当の図版は見当たらず、クリスマス用のショッピングバックにもブリッグズのイラストレーションを発見することが出来ませんでした。途絶えてしまったのだとしたら大変残念です。

今年のチャリティはWFP国連世界食糧計画(本部:ローマ)に寄付され、飢餓に苦しむ人々への食料援助に役立てられるそうです。
■WFP国連世界食糧計画HP:http://www.jawfp.org