日本にやってきた「スティッチ!」雑感 ― 2008年10月10日 01:37

ディズニーランドに続き、アニメーションのキャラクターまで独自の形で輸出させ、日本に招き入れた国、日本。“初めて”を引き出す日本は、ディズニー社にとって、やっぱり特別なマーケットなんだな。
★スティッチ!公式HP:http://www.disney.co.jp/character/stitch/okinawa/
発表前からささやかれていた噂、正式発表された製作体制、徐々にあきらかになる設定。不安と期待が過度に大きくなった状態での視聴。いろいろ思わされることが多い作品だった。
とりあえずの感想は「クリスはこれ、どー思ってんの!?」。
クリスとは言わずもがな、スティッチのオリジナル・クリエイター。映画の『リロ・アンド・スティッチ』の監督も務めたお方。
■クリス・サンダースHP:http://www.chrissandersart.com/
今回の日本アニメ『スティッチ!』はカケラもクリス・サンダースの息吹を感じない、正に新手法に感じました(嫌味)。先の『パワー・パフ・ガールズZ』についていけなかった自分としては、既存キャラクターのデザイン(&パーソナリティー)を変えずに持ち込む続編作りは入りやすいと……思っていたんですけどね。(別物って意味では同じ!?)
見事に既存キャラクターと新規キャラクターが水と油。トータルバランスがとられないデザインに面食らいました。眉の下に鋭角な三角影を入れるなど、見事なジャパニメーションぶりなのだから、イヤハヤ恐れ入りました。いやさ、無理して描けないデザインで苦しそうな作画になるよりはいいとは思いますが。
しかしもってリロのポジションになる日本人キャラクター「ユウナ」が、リロの影を強く引きずってるのはどーなん!? 赤地に黄色のポイントが入る基本服装は映画のリロの基本イメージと強くダブる。仕事に没頭して帰ってこない父を寂しく待つ姿は、劣化コピーにしか感じられなかった。
そもそもリロ&スティッチのコンビの良さは、内面においての相似形という部分が強かった。寂しいからケンカしたり、暴れてしまったりという幼さからくる感情表現が家族とのコミュニケーションによって解消されるステップが自然だった。そのステップもリロの個性に引っ張られる部分が大きかった。エルビス・プレスリーのレコードを大音量でかけて、「死について考えてるの」なんて子供は、やっぱり変わっている。その個性こそが魅力的でスティッチとの関係に説得力があったはず。
ユウナは小学四年生。祖父から継いだ空手道場の師範を務めるしっかりもの。でも表面上は強がっていても父を慕う寂しさも備えている……。級友のいじめに介入して救ってあげる行動といい、優等生すぎる人物像。はっきり言ってスカスカしてるんだよな。誰かが血を分けて創ったようなぬくもりを感じない。その優等生ぶりは保護者がディズニーに対して想像する“教育的なもの”といった感じで、うわべを装おうムードが従来スティッチ世界と遊離している感じ。この子に「イイコト」を学習させるよう導かれるのは、もう学校に通うくらいツマンナそうだ。
まあ、無味無臭であるユウナがシリーズを通して厚みを増す可能性も捨てきれないので、結論には早いと思うけど、今のところダメな感じ。
輪をかけてオバアなるキャラクターも中身を感じない人物。沖縄の言い伝えや作法などを教えてくれるキャラクター。唐突に登場して解説はするけど、ストーリーには介入しない傍観者ぶりは、激しくがっかり。
スティッチに箸を使う作法は教えるけど、食べている最中に部屋を走り回る行儀はスルー。
つか、この作品、こんなに真面目に語る値があるのだろうか。
そもそも数年前に日本のスタジオを閉鎖したディズニー社が、その系譜ではなく別のスタジオに丸投げし、製作されるアニメーション。期待した自分が悪かったのだろうか。
ある意味マッドハウスらしい止め絵を回転させたりして見せる(枚数の)省略は評価していたのだけど、既にTVアニメーションシリーズが存在するスティッチではイメージが固定されすぎていて、ツラいものがある。いっそ、キャラデザインの分離ぶりと同じように日本のキャラクターは動画枚数を普通のTV用、スティッチやジャンバたちは海外TV版なみの動画枚数とかだったら、素直に落差で爆笑できたのに。(狙いじゃねえか)。
枚数は少ないけれど安定した作画で見せるアニメが多い日本的アニメ流儀にのっとり作画は安定感がるのだえど、いかんせん動きが寂しい。普通に考えれば第一話は他の話数より力が入っているだろうから、以降に期待するのは難しい。
その分、他の要素でカバーを! と思うけど、音楽はこりゃまたフリー音源みたいな芯の無さで、寒かったし、演出もお膳立てが順番に流れてくるようなトローい感じだし。
せっかくの舞台も空気感、存在感を伝えるでもなく……そもそも沖縄の架空の島として時点でファンタジー色が強くなってしまっているのに、輪をかけて実在の動植物までファンタジー色が強いデザイン。そんなら沖縄じゃなくてもいいんじゃない?
ユウナがいじめっ子を前に唐突にサトウキビを折り、“やる気か?”と思わせて、「甘いよ」と差し出すシーンなんか、正に記号のみといった感じ。
サトウキビ畑のザワザワした風とか、キビを折る時の質感とか、こだわるべき部分って、他にあるんじゃないかなぁ。
まぁ、アニメは始まったばかり。様子を見よう……と、言いたいけど、1本あたりの満足度がこれじゃ、視聴が続くか自信ないっす。枚数が少なくたって、演出でカバーできることって、日本は得意あんじゃないか? もっと、がんばってくれよぉ。
キャラクタービジネスの為だけの中身のないフィルムに付き合い続けるほど、こちとら暇じゃない。沖縄の良さや、改めてのスティッチの良さを伝えるフィルムを作らなかったら、自分は離脱します。
はっきり言ってビデオスルーのパート2より、たちの悪い新ビジネスって可能性もあんぞ、これ。
※唯、BIGINの主題歌は、割と気に入った。GJ!
※画像1は現在発売中の「TVブロス」。スティッチ特集と、刺繍の“スティッチ”を特集するあわせ技。ウマイ!
※画像2と3はディズニーストアで配布されている番組宣伝チラシ。B5ペラ、両面カラーで映画のチラシと同様のスタイル。
※画像4はセブンイレブンで配布、同店舗で限定販売されている特製の弁当の宣伝。A4版。文意とは関係なく、現在を取り巻く状況の参考のため掲載。
読者とトーンの年齢 ― 2008年10月11日 04:15
週刊マイ・ディズニーランド53号目 ― 2008年10月11日 08:28
■ジオラマアイテム
・ゴールデンホースシュー(建物)
■本誌記事
・アナハイム探訪「シューティング・エクスポジション」
・キャラクター図鑑「ジャファー」
・ディズニー・ワークス「ノートルダムの鐘Ⅱ」
アナハイム探訪は次号につくジオラマアイテムであるシューティングエクスポジションをいち早く紹介。タイムラグがないので実物との比較が楽しめるタイミングです。写真のセレクトも、中身の情報もツボを抑えてます。ウォルトが1955~1957年ごろまでこのエリアで飼っていたミニチュアホースの話題や、オープンから現在に至るまでの名前の遍歴など嬉しい図版&情報。
キャラクター図鑑は「アラジン」の悪役“ジャファー”。いつもに比べて、豊富な話題性があり、楽しいページに仕上がっています。確かに映画『アラジン』だけでなく表題にまでなっている『アラジン ジャファーの逆襲』の活躍まであるし、変装した老人や蛇、レッド・ジーニーになったジャファーまでフォローしてあればバラエティーに富んで誌面は楽しい雰囲気になります。メイキングのトリビアとしてマレフィセントを参考にしている話を盛り込んだ点もなかなかグッジョブに感じました。
ディズニーワークスは『ノートルダムの鐘Ⅱ』。あのアニメをよく、ここまで褒めることができると感心したページです。お疲れ様。コラム“Did you know?”では、『ポカホンタスⅡ…』に続き声優の話なのですが、
<前略>続編では声優が大きく変わることも多々あるなか、ほぼ同じ有名俳優に演じられたことで、大きな話題になりました。大きな話題となったかはさておき、ポカホンタスⅡの時の文意が今更になって分かる結果となりました。(『ポカホンタスⅡ』のみの話をしていたと。)
誌面、それなりに満足。
ジオラマアイテムはウエスタンランド「ゴールンデンホースシュー(建物)」と「給水塔」。
ブロック、まるごとを一括で再現。メインはレビューを楽しめるサロン。給水塔はニューオーリンズ・スクエア駅にあるもの。
サロンの舞台を内蔵する予定とのことで、またも中身は繰り抜きされています。最近、ひたすら中身まで作りこむ方向で着ているので嬉しい限りです。個人的にはカントリー・ベアの中身も欲しいのですが、欲を言えばPVCフィギュアで入れ込んで欲しいなぁ。
そんな夢想をしている間もなく次号は、その舞台部分を含むラインナップ。「フロンティアランド(ゲート)」「ゴールンデンホースシュー(舞台)」「フロンティアランド・シューティング・エクスポジション」。
当たったど~ 数年かけた銀エンゼル5枚のゴール ― 2008年10月11日 20:09
ほんでもって今年。引越した友人が引越し手伝いのお礼にくれたエンゼル! 加えた時点でリーチの4枚に。その喜びようを見た別の友人が、「そんなに喜ぶなら」と1枚更に頂きました。そこで揃った5枚のエンゼル。
おもちゃのカンヅメは毎年バージョンが変わります。一昨年のキョロ缶は欲しくて、がんばって食べていました。でもその次のカンヅメは同じくキョロちゃん型だったのですが色が単色の金色バージョン。物欲テンションはダウン。そこで次の切り替えまで温存することにしました。
切り替え時期の8月、発表されたのは「冒険缶」と「魔法缶」の2種類。悩んだ末「冒険缶」をセレクトしました。応募から約1ヶ月で届くおもちゃのカンヅメ。昨日、ついに届きました。
開封レポは撮影がまだなので持ち越しです。シー・ユー・スーン♪
PEZ/ミッキー 80周年-説明、間違ってます ― 2008年10月12日 07:32

ミッキーマウスの誕生日とされる11月18日にあわせ、 「ペッツ」にもミッキーマウス限定バージョンが登場!誰か、その3種の説明がめちゃくちゃ間違っていると森永に伝えてくれ。 (どこにファンタジアや蒸気船ウィリー姿が?)
『1928年の蒸気船ウィリー』バージョン、1940年『ファンタジア』バージョン、 2000年以降バージョンの3種のペッツで、ミッキーマウスの歴史を振り返ることができます。
パリパリ食感でやさしい味わいのラムネ菓子は、 <レモン>または<オレンジ>1本と、<コーラ>1本の2本入り。 別売りの詰め替え用もあります!
ペッツ文化って、モチーフに愛の無いファン、事例を多く見かけるけど、なぜなんだろう。(例1、例2など)
タブレットがミントじゃないなら、今回はスルーかな。
……e-bay立つ瀬なしだなぁ。
『ロジャーラビット』にトムとジェリーが出ない本当の理由は? ― 2008年10月12日 08:27
ちょっとケースは違うかもしれませんが、以前から気になっているひとつのケースがあります。
映画『ロジャーラビット』は有名なアニメーションキャラクターが大集合するお祭りアニメですが、トムとジェリーは出てきません。リアルタイムで当時を通過していればどういう経緯で断念されたか知っていてしかるべき部分だと思うのですが、最近はなぜかこんな説が主流のようです。
言葉を話さなずジェスチャーで感情を表すキャラクターなので、そぐわないと思われ割愛された。ハァ? って思いませんか。でも、異論を唱えている人は少ないようです。そもそも、この説の源流は公開当時のパンフレットに寄せられた手塚治虫御大の寄稿に端を発しているようです。
<前略>その理由はいろいろありますが、最大の壁は、そのアニメの主人公達についている権利の問題です。<中略>MGMからはドルーピィという犬のキャラを借りました。ここのトップスターであるおなじみのトムとジェリーは、いっさいのセリフがしゃべれないということで、この映画には使わないことになりました。<後略>約3ページにもわたる解説は詳しく、さすが作品世界の時代を通過したプロのものと感心させれれます。ずいぶん勉強にも役立った解説文でした。
しかし、ことトムとジェリーにいたってはこの“説明”がいつの間にか“ファンの常識”に昇華してしまったようです。
説といっても、オフィシャルであることに違いはないと思います。関係者にも通じ、情報を得ているであろう氏の原稿が、事実無根の憶測で書かれているとは思えません。おそらく伝聞であったとしても関係者の誰かから聞いた話であろうと思います。
実際、この映画で扱ってるキャラクターは多岐にわたり、契約の細かさは作品にも表れています。主人公の探偵バリアントが落下中に遭遇するミッキーマウスとバックス・バニー。ビックネームの2人ですが、出番はわりと短いものです。これはバックス・バニーの版元であるワーナーブラザースが、自社の看板キャラクターがミッキーマウスの格下扱いになることを危惧し、出演時間はミッキーマウスと同時間、同コマ数になることを望んだ結果です。なるほど、2人の出演は必ず同じフレームに収まっていて、完全に同じタイムだと分かります。
これだけ細かな交渉が行われている中で「トムとジェリー」の出演拒否がそんなに簡単な理由であると納得できるでしょうか。そもそもセリフのないキャラクターも多数出演しているのに、トムとジェリーだけがその理由というのが納得できません。それじゃ版元からの拒否ではなく、ロジャーの作り手が拒否したという点からして矛盾しています。
公開当時の別の記事では、きちんと報道されていました。
50周年記念作品の長編映画を製作中なので「トムとジェリー」を貸し出すことはできないが、かわりにドルーピーを貸し出すことが許された。(※出典の出版物を捜索中ですが見つからないので、記憶で書いています。出典が分かる方、ご一報を!)
トムとジェリーのデビューは1940年。50周年を迎える1990年は『ロジャーラビット』の公開年1988年の2年後。時勢もまったく無理が無い。
ところがこの年に公開された長編映画の『トムとジェリー』は存在しません。
事実上、初の長編映画になる『トムとジェリーの大冒険』は1992年作品。遅れに遅れての完成だったようです。
そういえばフィグおばさんはモロに『リトル・マーメイド』のアースラの影響がでている。製作準備は『リトル・マーメイド(1989)』のヒットの真っ只中に感じます。(ちなみに準備中のデザインでは『101わんちゃん』のジャスパーとホーレスを思わせる悪党、クルエラの車の影響が強く感じられる点からもディズニー作品の影響は大きいようです。)
だとしたら手塚先生が実際のところを聞くことが出来なかったのも納得です。つまり他社の企画製作中のアニメの情報をディズニー社の人間は漏洩させることが出来ない。ならば、何であれ理由をつけて説明してしまったほうが早い。つまり、表向きの回答だったであろうと分かります。手塚先生、決してウソを言ってない。
(もうひとつの可能性は手塚先生は真実を知っていて、表向きに説明をサラリと流してしまったのかも。)
でも、その作品『トムとジェリーの大冒険』が公開され、理由を隠す必要の無くなった今もオフィシャル情報として主流になっているのはいささか疑問を感じます。だって、しゃべれないのを理由にしたらロードランナーもコヨーテも……その他たくさんのキャラクターが出演できなくなってしまう。方便にしても無理がありすぎでしょう。
不思議なのは、その無理がある説明に誰も異論を唱えず、そのまま若年層のファンに情報を再生産し続けていること。
当時を通過していれば『50周年記念作品』を楽しみにしていたでしょう? 特に「トムとジェリー」ファンならさ!
[画像]落下以前のミッキーとバックスの想像画面。
ロジャーラビットは公開当時発売されたアプローズのPVC。ミッキーはプチカ「ミッキーのパイロット」(1980発売)、バックスバニーはアーテル社製のミニカー(1988)。
ミニカー/バックス・バニー「What's Up Doc?」プレーン(1988)by Ertl ― 2008年10月12日 16:43
願わくば、この1個がスタートラインになりませんように。
おっ! これを使えばネタ画像を作れるぞ、と思った結果は別エントリーでご覧ください。
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